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弁護士の弁護士会役員として支出した懇親会費などが、当の弁護士の必要経費になるか争われていた事案で、最高裁は上告していた国側の上告受理申し立てを受理しないことが明らかになりました。

これで、上記事案の支出は「必要経費」として認められることが確定しました。

納税者勝訴の高裁判決が、従来の課税実務の判断を覆すものだっただけに最高裁の判断が待たれていた事案です。

同様の「士業」の必要経費に関する考え方に、国税庁の判断変更を迫るものであることは間違いありません。

さらには、経費の要件として用いられることがある「事業にとって直接必要なものかどうか」という判断基準が、従来通りには機能しなくなることも考えられます。

 

 

平成25年度税制改正に伴う小規模宅地等の特例では、被相続人が老人ホームに入所した場合の取扱いの明確化が政令でなされています。政令の規定ぶりから被相続人が入所前に同居していた「留守を預かる親族」が除外対象となるかどうか不明確でした。

国税庁が公表した改正通達によると、留守を預かる親族も特例の対象となることが明らかになりました。 政令の趣旨は、新たに被相続人等以外の者の居住の用に供された宅地等を除外する、ということです。つまり、老人ホーム入所前からの留守家族は「可」、入所後に居住した場合には「不可」となります。

 

 

平成26年度税制改正に、飲食費の50%相当分の損金算入を認める交際費課税の拡大が盛り込まれていることは周知のところです。

ところで、この改正が平成26年4月1日以後の「支出ベース」なのか、平成26年4月1日以後「開始事業年度ベース」で適用されるのかが不明確でした。

平成18年に導入された5千円基準が「支出ベース」で適用されたことから、いずれとも判断のつかないまま、当局の発表が待たれるところでした。

このたび、平成26年4月1日以後、開始事業年度から新制度が導入されることが明らかになり、この問題に決着がつきました。この制度の恩恵を受ける企業の多くが大法人であり、3月決算が多いことから混乱は少ないものと思われます。

 

 

平成26年度税制改正では、資本金1億円超の大法人にも、飲食費の50%が損金算入可能となりますが、「5千円基準」との関係について議論がありました。

税制改正大綱の文言では、中小法人について、50%損金算入特例との選択が可能との表現であったため、大法人について「5千円基準」特例の選択が認められないという判断が、一部実務家の間でなされたためです。

これについて、当局は大法人について5千円基準を制限するような法令を定める予定はないということで、この問題に関する混乱は収拾しました。

大法人としては、50%基準よりも5千円基準のほうが結局は有利ではないかとの意見もあり、今後実務の現場で試行錯誤を重ねていくものと予想されます。

 

 

平成25年度税制改正に伴う、新相続税の施行は平成27年1月からですが、同時に決定した「小規模宅地に係る二世帯住宅の要件緩和」と「終身利用権付老人ホームに入居時の要件緩和」については、平成26年1月発生の相続から適用されます。

従来認められていなかった「完全分離型」の二世帯住宅に関しても、同居とみなして小規模宅地の特例が認められるようになります。

この際、注意しなければならないのは、建物を親世代・子世代で区分登記すると、相続対象の親世代の持分に対応した分のみが特例対象に限定されてしまうということです。

小規模宅地の特例を前提とした場合には、建物を必ず「共有持分」で登記しなければないません。

また、被相続人が終身利用権付き老人ホームに入居していた場合でも、その住居を貸付に供していない限り、小規模宅地の特例とする道が開けました。

相続税大改正を来年に控えて、1年早く納税者にとっては「有利改正」が行われます。

 

 

国税庁は、扶養義務者である親や祖父母からの生活費、教育費等の贈与を行った場合の課税関係についてHPでQ&Aを公表しています。

  国税庁HPのQ&A↓
  http://www.nta.go.jp/shiraberu/zeiho-kaishaku/joho-zeikaishaku/sozoku/131206/pdf/01.pdf

これは昨年の税制改正法附則によって「非課税範囲の明確化」が求められていたことに伴う措置なのだそうです。

Q&Aは、教育費、生活費、結婚費用、出産費用にかかる贈与について逐一解説する方法を採っています。

特段に目新しい記述などはありませんが、どこにポイントを置いて判断すればよいのか、どの領域が「悩ましい範囲」なのか、に関する整理はできると思います。

 

 

12月31日時点の国外財産の合計額が5千万円を超える居住者(非永住者除く)に対し、国外財産の種類や価額を記載した「国外財産調書制度」の提出義務が平成26年1月1日に施行されました。

国外財産調書の提出期限は3月17日(15日が土曜日のため)で、この期限までに正当な理由なく調書を提出しない場合には、「1年以下の懲役又は50万円以下の罰金」が課されるという重たい制度です。

また調書の提出がある・なしによって、その財産に係る所得税や相続税の過少申告加算税の税率も変わってきます。

従って、5千万円に届くかどうかが微妙なケースでは、「とりあえず出しておく」というのが正解だと思われます。

 

 

新年あけましておめでとうございます。

今年は消費税率引き上げ、診療報酬改定、医療法の改正など大きな節目の年に

なると考えております。

消費税率引き上げに関しては税率改正時点をはさむ取引など、両当事者の契約、

税務上の判断等で混乱が生じることが予想されます。

また、医療業界は各医療機関の底力が試される年になるのではないでしょうか。

一刻も早く、正確な情報をお伝えし、皆様のお役に立てますよう精進致します。

どうぞよろしくお願い申し上げます。

 

 

2013年12月27日交際費課税の緩和

顧問先の忘年会などのお誘いを受けると、交際費に対する課税が緩和されることに話題が及ぶことが多くなりました。

平成26年度税制改正大綱で、大企業にも飲食費に限り、支出額の50%までが青天井で損金算入可能になったことが特に話題になっています。

この措置は中小企業にもおよび、800万円までを損金とするか、飲食費の50%を損金とするかが選択可能となります。

単純計算では、飲食費が1600万円を超える場合には、800万円の枠を使うよりも飲食費の50%の方が損金計上額は上回ることになりますが、まれなケースだと思います。

なお上記「飲食費」には、社内交際費は含まれませんので、充分な注意が必要です。 
また業務に関連しない役員のプライベートな交際費は、当然に損金算入の対象にはなりませんので、改めて注意をしてください。

 

 

平成26年度税制改正大綱では、税務調査の手続きに関する変更も盛り込まれています。

平成25年の調査から、調査開始に関する事前通知は、納税者と税理士の両者に向けて行うことが義務付けられていました。

しかし、納税者のほとんどが調査の詳細について、税理士へ通知してほしい旨希望するため、納税者に対する事前通知は、なかば形骸化したものになっていました。

そこで、平成26年7月から行われる調査から、代理権限証書にその旨の記載がある場合に限って、納税者への通知に代えて税務代理人に対する通知のみで事前通知を完了させることが決まりました。

忙しい納税者は、事前通知を受けるためだけに時間調整をしてもらうこともあったため、今回の改正で無駄な時間を使うこともなくなるわけです。

代理権限証書の「書式」も含めて、事務所の緊急の課題にしたいと思います。

 

 

ゴルフ会員権の譲渡損失に係る損益通算が、今年一杯で廃止という新聞報道が先月末になされたこともあり、いまだに今年中の廃止を前提に売買がなされているケースがあるようです。

12日発表の税制改正大綱では、廃止は来年4月1日以後譲渡からとされましたが、これについて周知されていないということです。

ゴルフ会員権は年内の売却を急ぐため「投げ売り」が発生し、相場が暴落しているという話も聞きます。

今回、納税者への不利益遡及となる1月1日廃止を避けたのは、平成16年の不動産譲渡損失の不利益遡及が多くの訴訟を引き起こしたため、同様のトラブルを避けようという思惑が働いたからだと言われています。

個人所得税の改正は1月1日が原則とされていた従来の考え方が、今回の改正によって完全に改められたと言えます。もちろん12月31日で特例措置が期限を迎えるものについては1月1日に新制度に移行します。マイホームの買換え特例など今年の不利益改正もこれに当たります。

 

 

平成26年度税制改正大綱に盛り込まれた、「生産性向上設備投資促進税制」について、「生産ラインやオペレーションの刷新・改善」によって同制度の適用を受ける場合、設備の取得は経産局の確認を受けた後でなければならないことが明らかになりました。

同制度のうちBパターンに該当する「生産ラインやオペレーションの刷新・改善は投資収益率が(中小企業に関しては)5%以上であることが求められ、その事実を税理士・会計士が「事前確認書」でまとめなければなりません。

この事前確認書を最寄りの経産局に提出し、その後1か月以内に「確認書」が発行される手順になっています。

事業計画がまず先にあり、設備投資が決まっているにもかかわらず、減税措置を受けるために、ぐずぐずと導入を先延ばしするという可能性もあるわけです。

早期の着手を心掛けなければなりません。

 

 

平成26年度税制改正大綱における、認定医療法人の相続税納税猶予制度に注目が集まっています。

認定制度そのものは、今後の医療法改正によって輪郭が明らかになるので、本当に「使える」制度なのかどうかは、いまだ明確ではありません。

社会保障審議会医療部会の「医療法等改正案 参考資料」によると、法律に基づく移行計画を策定し、これを「都道府県知事」が認定する制度を「移行促進策」として掲げています。

一方、昨年末に厚労省から出された改正要望に盛り込まれた、相続税・贈与税の納税猶予措置では、納税猶予の要件として相続税法66条4項の不当減少についての判定要件と同様のものとうたっていました。

昨年の厚労省要望と、今回の税制改正大綱に盛り込まれた「納税猶予制度」の違いとして以下の点が挙げられると思います。

① 今回改正は「医療法改正」を受けて導入されるものであること

② 認定制度の施行の日から3年以内に厚労大臣の認定を受ける「期限を切った」
  制度であること

以上の点から、平成25年厚労省要望に見られた納税猶予制度とは、ニュアンスの違ったものになる可能性があります。

逆に、全く同じものであればほとんど使えない制度ということになるのですが。

医療法改正の推移を見守りたいと思います。

 

 

平成26年度税制改正大綱が昨日発表されました。

  平成26年度税制改正大綱↓
  http://jimin.ncss.nifty.com/pdf/zeisei2013/pdf128_1.pdf

注目したものの一つに「医業継続に係る相続税・贈与税の納税猶予等の創設」があります。

平成25年度に厚労省から出されていた納税猶予制度と同様のものと予想していましたが、実際の文言に当たってみると、どうも様子が違います。

納税猶予の対象となる「認定医療法人」について、次のように記されています。

  認定医療法人(仮称)とは、良質な医療を提供する体制の確立を図る
  ための医療法等の一部を改正する法律に規定される移行計画(仮称)
  について、認定制度の施行の日から3年以内に厚生労働大臣の認定
  を受けた医療法人をいう。(傍線引用者)

「良質な医療を提供する体制の確立を図るための医療法等の一部を改正する法律」とは、今後国会で審議され制定されるものですが、平成18年の第5次医療法改正時にも同一名称の法律が制定されています。

その新法で、「認定制度」や「移行計画」の詳細が固まる予定であり、大綱では「認定制度の施行の日から3年以内に」厚労大臣の認定を受けることが要件となっています。

これは、制度の施行日から3年間の時限的特例措置という意味で解釈してよいのでしょうか。

そうであるとすると、認定法人の要件についても平成25年厚労省要望に記載されていたものとは、全く異質の制度となることも考えられると思います。

今後の立法のゆくえを注意深く見つめる必要があります。

 

 

2013年12月11日簡易課税制度の改正

13日にも発表される予定の、平成26年度税制改正大綱の内容が少しずつ明らかになってきました。

交際費課税の緩和など新聞などで大きく報じられている他に、納税者にとって不利益な改正案も見られます。高額所得者の給与所得控除の減額のほかに、消費税関係の重要な変更も予定されています。

消費税簡易課税制度のみなし仕入れ率の改正は、毎年の税制改正で話題に上っていましたが、今回は厳しい改正が現実のものになりそうです。

・ 不動産業のみなし仕入れ率が現行の50%から40%に引き下げられ、

・ 金融業・保険業については現行の60%から50%に引き下げられる

というのが具体的な改正内容です。

平成27年4月1日以後開始の事業年度から適用される予定です。

該当業種は、税率アップとは別に、資金繰り対策が必要になってきます。