2014年2月の記事

二世帯住宅に対する小規模宅地の特例の緩和が、今年1月発生の相続から適用されますが、具体的取り扱いについての説明が、国税庁から公表されています。

 国税庁HPの説明箇所 (資産税課情報第1号) はこちら↓
 http://www.nta.go.jp/shiraberu/zeiho-kaishaku/joho-zeikaishaku/sozoku/140115/pdf/01.pdf

事例を挙げた説明では、例えば、区分所有登記されていない建物に、被相続人甲と、相続人乙が居住しており、相続発生後相続人乙が居住を継続するとともに、いわゆる「家なき子」相続人丙が甲居住部分を取得した場合の適用について説明しています。

この場合、相続人甲取得分、乙取得分の土地はともに特定居住用宅地として、特例の適用になるとしています。

また問い合わせの多かった、甲と乙が「生計一」であった場合にも、丙取得土地に対して、特例適用があるとしています。

 

 

2014年2月20日立退料の所得区分

先般、弁護士が原告となる税務訴訟で、弁護士会役員が懇親会等に出席する費用が必要経費として認められる最高裁判決が出たところですが、今日ご紹介する事案は、裁判所が原告弁護士に不利益な判断を下したケースです。

弁護士である原告が、法律事務所の移転に伴い賃貸人から取得した「立退料」の所得区分が問題となっていた事案で、東京地裁は1月25日、立退料は事業所得に該当するとの判断を示しました。

原処分における事業所得との判断に対して、原告である弁護士は、立退料は弁護士の職務とはまったく関係ない収入であるため事業所得に該当せず、一時所得であると主張していました。 裁判所はこの判断を退け、課税庁の主張を認めたわけです。 

裁判所は、弁護士が業務を行う際には、弁護士法により法律事務所を設けることが必要とされ、その維持および管理の業務は、所得税法施行令94条1項の注書きにおける「事業所得を生ずべき業務」に含まれる、としています。 そのうえで、今回の立退料は、旧事務所から新事務所への法律事務所の移転に伴い増加する事業所得に係る必要経費を補填する趣旨のものであるから、所得税法施行令94条1項2号の規定により、事業所得に該当すると結論付けています。

所得税法施行令94条

不動産所得、事業所得…を生ずべき業務を行なう居住者が受ける次に掲げるもので、

その業務の遂行により生ずべきこれらの所得に係る収入金額に代わる性質を有するものは、これらの所得に係る収入金額とする。

 二 当該業務の全部又は一部の休止、転換又は廃止その他の事由により当該業務の収益の補償として取得する補償金その他これに類するもの

 

 

卸売業を営む顧問先からのご指摘です。

消費税率引き上げを目前にして、小売業者に駆け込み需要を促すよう検討していたけれども、とんでもない間違いであることに気が付いた。 先方が本則課税を採用しているならば、税率引き上げ分は、仕入税額控除されるため結果、負担額は変わらないことになってしまう。

先方との事後的なトラブルを避けるため、営業マンには消費税率引き上げを理由にしたセールスを一切行わないように通知した、と言われるのです。

まったくご指摘のとおりであり、そのような事態を想定していなかったことを恥じるばかりでした。

このケースのように、売上先が小売業である場合には、事業者間で転嫁してゆく仕組が明確なのでイメージがしやすいかもしれませんが、例えば商品が事務消耗品などで購入企業が最終消費者である場合には、消費税の転嫁のイメージを抱きにくいと思います。

いきおい、税率5%の間に早めに購入しようという駆け込み需要に乗ってしまう (促してしまう) 結果になります。

もちろん購入者が免税事業者や簡易課税選択事業者、あるいは課税売上割合の低い医療機関や居住用賃貸不動産業者などの場合には、純粋な転嫁がされないため、税率5%のうちに安い買い物をした方が、単純に得にはなります。

しかしながら、これは例外的なケースだと認識しなければなりません。

継続的な取引先に、後々トラブルの種をまくような営業は致命傷になりかねません。

駆け込み需要に対する対応は、くれぐれも気を付けなければならないと感じました。

 

 

平成26年度税制改正では、交際費等の額のうち、飲食のために支出する費用の50%の損金算入を認める特例が設けられており、平成26年4月1日から平成28年3月31日までの間に開始する事業年度に適用されます。

この制度の解釈を巡って、大綱発表当初から、若干の混乱が見られましたので整理をしてみます。

1. 大法人も、5,000円基準を適用可能

 大綱の書きぶりが、中小法人について飲食費50%との選択が可能というものだったため資本金1億円超の大法人については、「特例」の選択が認められないと解釈する向きもありました。 その後、大法人についての5,000円基準適用が確認されています。

2. 飲食費の50%は5,000円基準該当分を差し引いた残額に対して中小法人が「選択」できるのは、飲食費の50%損金か800万円頭打ち損金かのいずれかなので、5,000円基準はどちらを選択しても適用されます。

 したがって、50%飲食費の制度を採用する際にも、5,000円基準該当分は、まず差引いて計算することになります。

3. 社外交際の飲食費ならすべてOKではない

 50%損金飲食費は、5,000円基準における飲食費の範囲と同様になるとみられるので、ゴルフ、観劇、旅行等の催事に際しての飲食費は対象になりません。