2014年2月18日 駆け込み需要には細心の注意を

卸売業を営む顧問先からのご指摘です。

消費税率引き上げを目前にして、小売業者に駆け込み需要を促すよう検討していたけれども、とんでもない間違いであることに気が付いた。 先方が本則課税を採用しているならば、税率引き上げ分は、仕入税額控除されるため結果、負担額は変わらないことになってしまう。

先方との事後的なトラブルを避けるため、営業マンには消費税率引き上げを理由にしたセールスを一切行わないように通知した、と言われるのです。

まったくご指摘のとおりであり、そのような事態を想定していなかったことを恥じるばかりでした。

このケースのように、売上先が小売業である場合には、事業者間で転嫁してゆく仕組が明確なのでイメージがしやすいかもしれませんが、例えば商品が事務消耗品などで購入企業が最終消費者である場合には、消費税の転嫁のイメージを抱きにくいと思います。

いきおい、税率5%の間に早めに購入しようという駆け込み需要に乗ってしまう (促してしまう) 結果になります。

もちろん購入者が免税事業者や簡易課税選択事業者、あるいは課税売上割合の低い医療機関や居住用賃貸不動産業者などの場合には、純粋な転嫁がされないため、税率5%のうちに安い買い物をした方が、単純に得にはなります。

しかしながら、これは例外的なケースだと認識しなければなりません。

継続的な取引先に、後々トラブルの種をまくような営業は致命傷になりかねません。

駆け込み需要に対する対応は、くれぐれも気を付けなければならないと感じました。