2016年3月の記事

従来の財産債務明細書は、この3月15日締切の確定申告から、「財産債務調書」と名称を改められました。
提出義務者も「申告所得2,000万円超で、かつ、財産総額3億円以上、または有価証券1億円以上の者」とされ、対象者も従来より限定されています。

 

この調書を提出することによるインセンティブとしては、本来申告すべき不動産所得や利子所得、配当所得などの所得税または相続税などに申告漏れがあった時に、当該財産債務に関する過少(無)申告加算税を5%軽減する、ということになっています。

 

当面、相続発生はないと予想されるので、提出しないことによる実質上のデメリットはないのではと考える方もおられるかもしれません。
しかし、ここで注意したいのは、財産債務調書自体に質問検査権が認められていることです。

 

この調査に対して答弁せず、若しくは偽りの答弁をするなど検査を拒み、妨げ、忌避したときは1年以下の懲役または50万円以下の罰金を科すこととされています。
財産債務明細書のときと同じ感覚で提出せず、税務署から呼び出しがあっても放置していると、1年以下の懲役または50万円以下の罰金が科される可能性がある、ということです。

 

調書を提出しないことによるリスクは、これまでの「明細書」より格段に大きいと考えていた方がよいでしょう。

 

 

この3月15日までに申告義務のある平成27年度贈与税申告書は、昨年までのものと大きく様式が異なっています。

 

直系尊属が、その年の1月1日において20歳以上の者(子・孫など)へ贈与をした場合に、特例税率が適用され負担が軽減される特例制度が導入されたためです。

なお、この特例制度を利用した贈与を行い、贈与財産額が410万円超の場合「申告者の戸籍謄本または戸籍抄本」が必要になります。
同制度は選択制ではありませんので、直系親族間の贈与で受贈者が20歳以上の場合、410万円超の財産移転があった場合には、上記書類の添付は必須となります。

 

すでに申告が完了された方も、もう一度ご確認をお願いします。