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7月1日、令和2年度路線価が公表されました。
現在、相続税申告業務を受任中の相続財産が、前年比20%を超える上昇幅だったため、急いで新たな路線価による評価額の見直しと、納税額予測の見直しをお伝えしました。今の不動産市況からすると、とうてい納得のいかない上昇率です。
9月ごろに、7月1日時点の基準地価が公表されるので、この基準地価が広範囲で大幅に下落した場合には、国税庁は地域ごとに一定の係数を路線価に乗じて減額する案が浮上しているとのことです。
それにしても1月開始相続の場合、申告期限は10月です。1か月足らずの期間で評価調整を行うという、厳しいスケジュールになってしまいます。

 

 

2020年9月末とされていた認定医療法人の認定期限が、3年間延長となりました。

12月12日発表の税制改正大綱で明らかにされています。

 

「良質な医療を提供する体制の確立を図るための医療法等の一部を改正する法律の改正を前提に、医業継続に係る相続税・贈与税の納税猶予制度等の適用期限を3年延長する」(大綱50頁)と記載されています。

租税特別措置法 第70条の7の12 「医療法人の持分についての相続税の納税猶予及び免除」の規定が「平成32年9月30日までの間に厚生労働大臣認定を受けた医療法人に限る」とされていたものが、「令和5年9月30日までの間に」に改正されるものと思われます。

 

今後3年間で、地域医療をめぐる環境、医療法人運営をめぐる環境が変化することも考えられます。もう一度、認定医療法人制度の適否について検討する機会を持たれてはいかがでしょうか。

 

 

消費税率引き上げを目前にして、10月1日を挟む取引の消費税について、お尋ねをいただく機会が増えています。
9月30日A社が出荷基準により売上げ、これを10月1日B社が検収基準で仕入れた場合、A社からは旧税率8%適用の請求書がB社に送られます。A社の売上計上は9月、B社の仕入計上は10月とズレがあっても構わないのですが、消費税の取扱いはA社・B社ともに旧税率8%で取り扱うことになります。
ここまでは、国税庁Q&Aなどで周知されていることなので、大きな会社の経理では誤りは少ないのではないかと思います。

 
問題は、B社の仕入システムが柔軟に稼働せず、10月以降の取引をすべて10%で計算し、本来8%の取引のものに10%分の消費税を乗せて支払う場合などです。
A社の対応としては、過払となった2%相当分を仮受金などで処理したうえ、B社に消費税率の説明を行ったうえ、返還するのが妥当だと思います。B社が頑なに対応を拒否するならば、差額の2%相当分は受贈益として益金参入し、これを消費税上不課税取引として扱うことになると思います。

 
厄介なのは、買い手であるB社の力関係が強いため、A社の請求書を10%に書き換えるよう圧力をかけられることです。これはB社の過大な仕入税額控除を実現するために、A社が請求書を偽造することになりますので、決して行ってはいけないことです。大切なお取引先だからと安易に売上先の要請に従うと、信用を失うことになってしまいます。

 

 

2019年10月に予定されている消費税率10%の引き上げと軽減税率制度の導入まで残り半年となりました。

 

複数税率対応レジの導入や、受発注システムの改修などの経費の一部を補助する「軽減税率対策補助金」について、2019年1月から軽減税率対策補助金制度が拡充されました。これを受けて、中小企業庁は3月29日、軽減税率対策補助金の説明書「消費税軽減税率まるわかりBOOK」を改訂しています。

 

改訂版はこちら↓
https://www.chusho.meti.go.jp/zaimu/zeisei/2019/190329zeiseikaisei2.pdf

 

従来は補助対象外としていた事業者間取引における請求書等の作成に係る対応(「区分記載請求書等保存方式」への対応)について、これに対応するシステムの開発・改修、パッケージ製品・事務機器等の導入に係る費用も新たに補助対象となります。また、これまでレジの設置と同時に行われる商品情報の登録に係る費用を補助対象としてきましたが、レジ設置時とは別に行う場合も補助対象とするほか、複数税率に対応する「券売機」についても補助の対象とするよう改められました。

 

「補助率の引上げ」では、レジの設置・改修、受発注システムの改修等に要する経費の「3分の2以内」という補助率が、原則「4分の3以内」に引き上げられます。あわせて、3万円未満のレジを1台のみ導入する場合の補助率も「4分の3以内」から「5分の4以内」に引き上げられます。

 

また、「補助対象事業者の取扱い」では、事業者が営む事業に関連する規制により、補助対象外となっていた旅館・ホテル等の一部の事業者に係る取扱いについて、広く補助対象として認められるよう、制度の運用改善が行われることとされています。

 

 

退職一時金支給に関する納税者の照会に、熊本国税局が回答しています。
照会者は、就業規則を改定し、従業員の定年を60歳から64歳に延長することに決定しました。これに伴い、従業員の入社時期に関わらず、延長前の定年である60歳に達したときに退職一時金を支給することに決定しました。この退職一時金を「退職所得」として取り扱ってよいか、という問合せです。

 
熊本国税局は、定年延長前からいる従業員については「退職所得」として構わないとする一方で、定年延長後に入社する従業員についてはその限りでないと回答しています。所得税基本通達30-2(5)は、労働協約を改正して定年を延長した場合を前提としており、改定後に入社した職員を対象として予定していない、というのがその理由です。

 
「働き方改革」によって、定年延長を打ち出す企業も増加することが考えられます。「定年延長改正時」と「入社時」の時系列をきちんと把握しておくことが会社に求められます。

 

 

国税庁は、老人ホーム入居中に自宅を相続した場合の小規模宅地の特例の適用についての文書回答事例を公開しました。

 

国税庁HP該当ページ↓
https://www.nta.go.jp/about/organization/tokyo/bunshokaito/souzoku/181207/index.htm

 

被相続人甲が有料老人ホームに入居する直前まで居住の用に供していた家屋及びその敷地の用に供されていた宅地を、別の老人ホームに入居していた配偶者乙から相続により取得し、その後、本件家屋に戻ることなく死亡した事例です。

 

被相続人が有料老人ホームに入居し居住の用に供されなくなった直前において、家屋及び敷地を所有していなかったとしても、小規模宅地の特例は使えるとの国税庁の回答でした。
被相続人が宅地等を所有していたか否かについては、法令上特段の規定は設けられていないために生じた疑問でしたが、居住の用に供されなくなった直前において、被相続人甲の居住の用に供されていたものであることから、その時において所有していなかったとしても特例の対象となる、との国税庁の判断です。

 

今後、同様の事例は増加するものと思われ、ごくまっとうな判断が示されたものと考えます。

 

 

昭和55年以来約40年ぶりに相続に関する規律を見直した改正民法(相続法)の施行日を定めた政令が閣議決定され、原則的な施行期日は2019年7月1日と定められました。 主な制度の施行日は、以下の3段階とされています。

 
①遺言制度に関して自筆でない財産目録を添付して自筆証書遺言を作成できるよう見直した自筆証書遺言の方式を緩和する方策は、一足早く2019年1月13日。

 
②遺産分割前の預貯金の払戻し制度や遺留分制度の見直し、相続の効力等に関する見直し等に関しては、2019年7月1日。

 
③配偶者の居住建物を対象として終身又は一定期間、配偶者にその使用を認める新たな権利「配偶者居住権」や配偶者短期居住権の施行日は2020年4月と、周知期間や関係法令の整備にやや時間を取った形になっています。

 

 

住宅宿泊事業法(民泊新法)が6月15日に施行されました。国税庁は13日、「住宅宿泊事業法に規定する住宅宿泊事業(いわゆる「民泊」)により生じる所得の課税関係等について(情報)」を公表しています。
国税庁HPはこちら↓
https://www.nta.go.jp/law/joho-zeikaishaku/shotoku/shinkoku/0018005-115/0018005-115.pdf

 
これによると、所得区分は、自己が居住する住宅を利用して民泊を行うことによる所得は、原則として雑所得に区分されます。利用者から受領する対価には、部屋の使用料のほか、家具等の賃貸料やクリーニング代、水道光熱費、室内清掃費、日用品費、観光案内等の役務提供の対価などが含まれています。

 
ただし、不動産賃貸事業者が、一時的な空き部屋を利用して民泊を行った場合に得る所得は、不動産所得に含めても構いません。
また、専ら民泊で生計を立てるなど、民泊が所得税法上の事業として行われていることが明らかな場合は、その所得は事業所得に該当するとしています。

 

 

なにかと話題の多い仮想通貨ですが、昨年ビットコインなどの仮想通貨で儲けを得た方は、3月15日までに確定申告が原則必要です。所得区分は、一般的には「雑所得」となります。

 

ただしサラリーマンで、儲けが20万円以下の方については、その他に所得がない場合、確定申告は不要です。

 

仮想通貨の利益とは、単に売却をしてキャッシュを得た場合以外にも発生するので、注意が必要です。
たとえば仮想通貨を使って買い物をした場合には、仮想通貨の購入時価と買い物決済時価の時価差額を利益と認識します。
また、仮想通貨を他の仮想通貨と交換した場合にも、仮想通貨の購入時価と交換時点での時価差額を利益と認識します。

 

逆に仮想通貨で雑所得の損失が生じた場合、雑所得以外の他の所得と損益通算することはできず、損失の繰越もできませんので、税務上の救済はないと考えなければなりません。

 

 

法務省は16日、被相続人の遺産分割で配偶者の優遇を図る民法改正案を次の通常国会に提出する方針を固めました。配偶者が相続開始時に居住していた建物に住み続ける権利「配偶者居住権」を新設するのだそうです。
居住不動産を遺産分割で取得してしまうと、法定相続分で考えた場合、自宅以外の相続財産の取り分が少なくなるので、自宅をより評価の低い「配偶者居住権」に置き換えて、他の財産もより多く取得させてあげようという話のようです。

 

さて、自宅評価で他の財産の取り分が少なくなってしまう、という相続なので、さほど大きな相続案件ではないでしょう。1億円をMAXと考えればよいかと思います。
たとえば土地2500万円、家屋500万円で、自宅評価総額3000万円であったとします。
配偶者居住権をどのように評価するのかわかりませんが、かりに1000万円とすると、居住権を伴わない自宅評価額は、これを差し引いた2000万円になるのかと思います。
配偶者居住権で保護されなければならない環境の配偶者と、子は同居していないでしょうし、子は自宅を別に所有していると考えられます。居住権なしの自宅評価は、おそらく小規模宅地の特例の恩恵を受けないことになります。

 

ここで、上記のケースで相続財産が1億円であったとき、配偶者がそのまま居住用不動産を相続した場合と、配偶者居住権を相続した場合の相続税を比較してみます。配偶者と子2人のケースです。
配偶者が居住用不動産を相続した場合、小規模宅地の特例が使えるので、土地評価の80%すなわち2千万円が減額されます。自宅評価は1千万円ですが、分割は評価減を行う前の3千万円をベースにします。法定相続分で残り取得すべき財産は2千万円。相続税評価に戻すと、自宅1千万円+その他2千万円=3千万円となって、相続財産総額の50%に届かず、配偶者軽減の恩恵が少なくなります。税負担はおよそ220万円。
これに対して、配偶者居住権を相続した場合で、小規模宅地特例が使えない場合の、同条件の相続税は315万円。
相続税負担は100万円ほど増え、負担者は子になります。
二次相続は、いずれも5千万円の相続なので、80万円の同負担額になります。

 

配偶者居住権で保護しなければならない親と、おそらく仲の良くない子の、利害の対立する相続です。わずか100万円が両者の溝を決定的にしなければよいのですが。そう思います。

 

 

国税庁は1月4日、HP上に「医療費控除に関する手続きについて(Q&A)」を掲載しました。

 

国税庁HP↓
http://www.nta.go.jp/shiraberu/ippanjoho/pamph/pdf/iryohikozyoQA.pdf

 

平成29年度税制改正で同年分以降の所得税の確定申告において、医療費控除の適用の際に、医療費の領収書を確定申告書への添付又提示から、医療費の領収書に基づいて必要事項を記載した「医療費控除の明細書」の添付へと改正されたことを受けたものです。
Q&Aでは、主に医療費控除の明細書に代えて一定の記載があることを条件に提出が認められている、医療保険者が被保険者に交付する「医療費通知」の注意点を中心に掲載されています。

 

例えば、医療費について自治体の助成、未収金などにより、窓口で自己負担額の減免があるにもかかわらず、その金額が「医療費通知」に反映されていない場合は、減免分を除く実際に負担した医療費の額に基づいて医療費控除の額を計算することになります。
そこで「医療費控除の明細書」の「1 医療費通知に関する事項」のうち「(2) (1)のうちその年中に実際に支払った医療費の額」欄へ実際に支払った医療費の合計額を記載し、「医療費通知」に減免分がある旨を付記した上で、「医療費控除の明細書」と「医療費通知」を確定申告書に添付する必要があるとしています。

 

 

政府税制調査会は今月開催の総会で、税務手続きの電子化について議論しました。その中で財務省は電子化の行程表を提示し、2019年1月からスマートフォンで確定申告できるようにする方針が示されました。

 

現在、e-Taxで申告する際には、ID、パスワードに加えて、マイナンバーカード、ICカードリーダライタによる本人認証が必要です。
スマホ申告では、サラリーマンの副業増加などにより個人で確定申告する人が増えていることから、納税手続きの簡素化を図るようです。
当面は、税務署が本人確認の上で発行するIDとパスワードを、スマホ専用の申告書作成コーナーに入力して申告するかたちをとりますが、いずれはマイナンバーカードと連携させて、税務署発行のIDやパスワード入力も省略する方向です。

 

「スマホ申告」は、まずは医療費控除やふるさと納税など、特にニーズが多い基本的な手続きから実現し、段階的に利用できる範囲を広げて、最終的には基本的にスマホのみで手続きが簡潔するしくみを目指すのだそうです。

 

 

去る10月12日、法務省は休眠会社等の整理作業を行うため、12年以上登記のない会社、5年以上登記のない一般社団・一般財団法人に対する法律の規定に基づく法務大臣の公告を行うとともに、該当する休眠会社等に管轄登記所からその旨の通知書を発送しました。

 

この公告により、これらの休眠会社等は、公告の日(10月12日)から2ヵ月以内となる今年12月12日までに、
1)役員変更等の登記の申請、
2)「まだ事業を廃止していない」旨の届出
のいずれか行わない場合は、同月13日付で解散したものとみなされ、職権で解散の登記がされます。

 

なお、対象となる12年以内又は5年以内に登記事項証明書や代表者の届出印の印鑑証明書の交付を受けていたかどうかや、通知書が届かない場合も、関係なく期限を過ぎると解散となることから、経営者等は確認が必要です。

 

 

平成28年度税制改正で、相続によって取得した被相続人の居住用不動産の売却にも、3千万円控除の道が開けるようになりました。
ところが相続のご相談で、その売却物件が「昭和56年5月31日以前に新築」の要件を満たしておらず、3千万円控除の特例が使えないケースが多いことにも気づきます。

 

日付によって特例適用に差があるのは、昭和56年6月の建築基準法の改正により耐震基準が大きく改善されており、それ以前の建築については「空き家」のリスクが大きく、特例による救済が必要という政策的な判断からです。

 

さて、昭和56年5月31日以前に新築した物件で、未登記の場合には、「確認済証(同日以前に交付されたもの)」や、「検査済証(交付年月日が同日以前のもの)」、「建築に関する請負契約書」により証明できれば特例の適用が認められます。
また、新築日は昭和56年5月31日以前だが、その後増築したことが登記事項証明書に記載されている場合でも、3千万円控除の特例の適用は可能です。

 

 

国税庁はホームページに「29年分確定申告の医療費の明細書添付の義務化のお知らせ」を掲載しました。

 

国税庁ホームページ

↓ ↓ ↓
http://www.nta.go.jp/shiraberu/ippanjoho/pamph/pdf/iryoukoujyo_meisai.pdf

 

平成29年度税制改正では所得税の医療費控除の見直しが行われ、これまで医療費控除の適用を受けるために確定申告書とともに必要だった医療費等の領収書の添付又は提示から、「医療控除の明細書」の添付に変更されました。

 

HPには、今回の改正のポイントとして医療費控除の明細書の添付が必要になったこととともに、確定申告期限等から5年間、医療費の領収書を保存する必要があり、税務署から求められた場合には提示又は提出する義務があること、医療保険者から交付を受けた医療通知書を添付することで明細の記入を省略できることを説明しています。

 

また、経過措置として平成29年分から31年分までの確定申告については、これまでの医療費の領収書などを確定申告書に添付するか、確定申告書を提出する際に提示することも認められていることを説明しています。