2012年6月の記事

医療法人の理事とMS法人の役員との兼務について、厚労省から通知が出ていることは、既報のとおりです。

今後、医療法人成りの手続等で、神経を使わなければならないところだと思います。

医療法人とMS法人との商取引の適正性についても、通知文書は言及していますので、今一度、契約内容の他社比較などを行ってみることが必要でしょう。

ところで契約内容の適正性については、興味深い判決が出ていますのでご紹介します。

医療法人が、コンタクトレンズ販売会社であるMS法人に対して支払った広告宣伝費について、東京地裁は広告宣伝費が、「寄附金」に該当する判断を下しました。

眼科診療所を経営する医療法人が、関連会社の新聞折込チラシ等の宣伝費用について、費用を一部負担していた事案で、その折込チラシ等について医療法人の名称等の記載がない等の理由から、医療法人の負担費用を税務署が寄附金と認定した更正処分を適法と判断しています。

MS法人の経費ではあっても、医療法人が負担すべき筋のものではないという判断です。

同一ビルに医療法人とMS法人が同居している場合など、MS法人の宣伝が事実上医療法人の宣伝の「効果」を見込める場合であっても、医療法人の広告宣伝という体裁を取らなければ医療法人の経費性は認められないと考えなければなりません。 

厳しい判断だと思います。

 

 

消費税率引き上げ法案に関する民主党と自民党との修正協議が、今月15日までに合意をめざす方向で進められています。

民主党が、低所得者層向け対策として打ち出している、「給付付き税額控除」制度に対して自民党は反対していることから、15日までの合意、21日国会会期末までの衆議院可決は、微妙な情勢です。

自民党からは、会期末まで残り僅かなことから、かりに消費税改正について合意をみたとしても、消費税以外の改正項目である所得税の最高税率引き上げや、相続税の基礎控除引き下げなどの税制抜本改革項目は、今年末の税制改正論議まで先送りするという見方が強まっているとのことです。

相続税改正については、自民党が強く反発していることから、かりに年末の論議に先送りされても、平成25年度税制改正に盛り込まれるかどうかは流動的です。相続税増税には所得間格差を埋め、消費増税を行うための環境整備をするという意味合いもあるのでしょうから、消費増税の決議のタイミングによっては、いっそう相続税制の改正のゆくえは、読めなくなると思います。