2012年6月13日 メディカル・サービス法人との取引の適正性

医療法人の理事とMS法人の役員との兼務について、厚労省から通知が出ていることは、既報のとおりです。

今後、医療法人成りの手続等で、神経を使わなければならないところだと思います。

医療法人とMS法人との商取引の適正性についても、通知文書は言及していますので、今一度、契約内容の他社比較などを行ってみることが必要でしょう。

ところで契約内容の適正性については、興味深い判決が出ていますのでご紹介します。

医療法人が、コンタクトレンズ販売会社であるMS法人に対して支払った広告宣伝費について、東京地裁は広告宣伝費が、「寄附金」に該当する判断を下しました。

眼科診療所を経営する医療法人が、関連会社の新聞折込チラシ等の宣伝費用について、費用を一部負担していた事案で、その折込チラシ等について医療法人の名称等の記載がない等の理由から、医療法人の負担費用を税務署が寄附金と認定した更正処分を適法と判断しています。

MS法人の経費ではあっても、医療法人が負担すべき筋のものではないという判断です。

同一ビルに医療法人とMS法人が同居している場合など、MS法人の宣伝が事実上医療法人の宣伝の「効果」を見込める場合であっても、医療法人の広告宣伝という体裁を取らなければ医療法人の経費性は認められないと考えなければなりません。 

厳しい判断だと思います。