2013年11月の記事

ゴルフ会員権の譲渡所得の損失と他の所得との通算が、平成26年度税制改正で廃止になる見通しです。

廃止の方向は明白として、その実施時期がいつになるかが毎年の税制改正時期の関心事でしたが、ついに廃止のときが来るようです。

平成26年1月1日以後の取引から、損益通算が不可となるようですので、売却損を計上するならば、あと1か月しか残されていません。

この税制改正法案が国会を通過するのが来年3月あたりですので、あきらかに遡及して納税者に不利益な措置が法定されることになります。

平成16年に不動産の譲渡損失が、他の所得と損益通算不可となった時は遡及的に納税者に不利益になる法制の適否が最高裁まで争われましたが、問題なしとの判決が出ています。

繰り返しになりますが、ゴルフ会員権の売却損を有効に発生させるには、おそらく1か月の時間しか残されていません。悔いのないように決断すべき時です。

 

 

平成26年度税制改正大綱は12月12日(木)に決定する見込みで各項目の調整に入っています。

気になる動きとしては、「役員給与に係る給与所得控除の縮減措置」が財務省の強い意向で盛り込まれようとされていることです。

平成22年に廃止された、悪名高い「一人オーナー課税制度」に代わるものとして平成23年度改正案に盛り込まれながら見送られていた増税措置が、ここにきて再登場するという話です。

役員給与の額が、2000万円から4000万円の間は給与所得控除額が逓減され、4000万円を超えると125万円の控除で頭打ちになるというのが、23年度改正案でした。

給与所得控除を一定額を上限に、頭打ちになるという措置に関しては甘受できても、一定額を超えると減額される措置の合理性を見出すのは困難です。

自民党税調の議論を注視したいと思います。

 

 

政府税制調査会では、国境を超えた役務提供等に対する消費税課税について議論をしています。

現行は資産の譲渡・貸付があった場合には、その資産の所在場所で、役務提供が行われていた場合にはその事務所所在地によって、「内外判定」を行い、消費税の課税・不課税の判断を行っています。

しかしながら、この判定基準ではインターネットなどを利用した役務提供の課税が適正に行われないおそれがあるとして、基準の見直しを行っているわけです。

財務省資料は以下の通り↓
http://www.cao.go.jp/zei-cho/gijiroku/discussion1/2013/__icsFiles/afieldfile/2013/11/14/25dis12kai4_1.pdf

財務省は、B to C取引、B to B取引それぞれについて課税案を提出していますが、取引規模に応じた取り扱いの必要や、実際の執行上の問題点などから、議論はまとまらず、平成26年度税制改正大綱に改正方針を盛り込むのは難しい状況だそうです。

今後の税制調査会の議論に注目したいと思います。