2012年8月の記事

預託金会員制ゴルフ会員権」の譲渡所得にかかる、今年6月の東京高裁判決を受けて、国税庁は従来の取得費の取り扱いを改める旨、HPで公開しています。

国税庁HP↓
http://www.nta.go.jp/sonota/sonota/osirase/data/h24/golf/01.htm

預託金会員制ゴルフ会員権が会社更生法の適用により、預託金債権の全額を切り捨てられ「プレー権」のみのゴルフ会員権となったとき、これを売却した際に取得費として認識できるのは、「プレー権のみのゴルフ会員権の時価相当額」とされてきました。

HPでは今回の東京高裁判決を受けて、預託金会員制ゴルフ会員権を取得したときのプレー権部分に相当する、もともとの取得価額を「取得費」とすると改めています。

ただし、プレー権につき以下のような条件が認められ、更生手続等の前後で変更なく存続し、同一性を有していると認められる場合の取扱いであることが前提です。

①更生計画等の内容から、プレー権が会員の選択等にかかわらず、更生手続等の前後で変更がなく存続することが明示的に定められている

②更生手続等によりプレー権のみのゴルフ会員権となるときに、新たに入会金の支払がなく、かつ年会費等納入義務等を約束する新たな入会手続が執られていない

なおこの取扱いの変更は遡及適用でき、取扱いの変更を知った日の翌日から2ヵ月以内に請求をすることにより、納め過ぎた所得税の還付を受けることができます。

 

 

2012年8月17日税務調査の顛末

法人税調査で、役員所有土地への法人地代復活を、「利益調整なので否認したい」と税務署が主張してきた件の顛末です。

地代支払い復活について、税務署側の主張が誤りであることを、しぶしぶ認めたのですが、地代の額が「適正ではないと感じる」ので、否認したいと主張してきました。

価額が適正でないという根拠も薄弱なまま、「何でもいいから、なんとかこちらの顔を立てられないか」という言いぐさです。

地代の額を改めて計算すると、いわゆる「通常の地代」の額に該当します。地代の額の根拠を示すと、すごすごと主張を撤回しました。

高齢の、濡れ落ち葉のような調査官の物言いならば、哀れも感じるところですが、まだ年齢も若く、現場の税務職員の模範として自らを律すべき統括官の、これが反応です。

現場の士気も落ちるでしょう。

怒りを通り越して、税務行政の行く末を案じさせるような一件でした。そして、ひょっとすると、このような滑稽な主張を繰り返すのは、それにおとなしく屈している税理士の存在が、原因としてあるのではないか、とも考えました。

 

 

中小企業などが、消費税率引き上げ時に価格に転嫁ができない、いわゆる転嫁問題は経営のかじ取りを危うくしかねないため、経営者が頭を悩ませるところです。そこで政府は、消費税法とは別に「転嫁対策専用の法律」を創設する方針です。

平成元年消費税導入時に消費税法附則に盛り込まれた「独禁法適用除外規定」と同様の規定を設けるほか、取引の中で消費税分を転嫁させないような行為を「違法」であると新法に明記する方針です。

まず消費税分の価格転嫁方法や表示方法に関するカルテルは、これを独禁法の適用除外とするという、平成元年と同様のカルテル除外規定を設けます。

そのうえで、実際に下請けいじめのような実態がないかどうかを調査する権限を、各省庁に設け、違反に対して実効あるペナルティを課せるように法の整備を行うそうです。

政府としては消費税法とは別途に法律を設けることで、転嫁対策に強い姿勢で臨むことをアピールしたいところです。