消費税率引き上げを目前にして、10月1日を挟む取引の消費税について、お尋ねをいただく機会が増えています。
9月30日A社が出荷基準により売上げ、これを10月1日B社が検収基準で仕入れた場合、A社からは旧税率8%適用の請求書がB社に送られます。A社の売上計上は9月、B社の仕入計上は10月とズレがあっても構わないのですが、消費税の取扱いはA社・B社ともに旧税率8%で取り扱うことになります。
ここまでは、国税庁Q&Aなどで周知されていることなので、大きな会社の経理では誤りは少ないのではないかと思います。
問題は、B社の仕入システムが柔軟に稼働せず、10月以降の取引をすべて10%で計算し、本来8%の取引のものに10%分の消費税を乗せて支払う場合などです。
A社の対応としては、過払となった2%相当分を仮受金などで処理したうえ、B社に消費税率の説明を行ったうえ、返還するのが妥当だと思います。B社が頑なに対応を拒否するならば、差額の2%相当分は受贈益として益金参入し、これを消費税上不課税取引として扱うことになると思います。
厄介なのは、買い手であるB社の力関係が強いため、A社の請求書を10%に書き換えるよう圧力をかけられることです。これはB社の過大な仕入税額控除を実現するために、A社が請求書を偽造することになりますので、決して行ってはいけないことです。大切なお取引先だからと安易に売上先の要請に従うと、信用を失うことになってしまいます。