2014年2月20日 立退料の所得区分

先般、弁護士が原告となる税務訴訟で、弁護士会役員が懇親会等に出席する費用が必要経費として認められる最高裁判決が出たところですが、今日ご紹介する事案は、裁判所が原告弁護士に不利益な判断を下したケースです。

弁護士である原告が、法律事務所の移転に伴い賃貸人から取得した「立退料」の所得区分が問題となっていた事案で、東京地裁は1月25日、立退料は事業所得に該当するとの判断を示しました。

原処分における事業所得との判断に対して、原告である弁護士は、立退料は弁護士の職務とはまったく関係ない収入であるため事業所得に該当せず、一時所得であると主張していました。 裁判所はこの判断を退け、課税庁の主張を認めたわけです。 

裁判所は、弁護士が業務を行う際には、弁護士法により法律事務所を設けることが必要とされ、その維持および管理の業務は、所得税法施行令94条1項の注書きにおける「事業所得を生ずべき業務」に含まれる、としています。 そのうえで、今回の立退料は、旧事務所から新事務所への法律事務所の移転に伴い増加する事業所得に係る必要経費を補填する趣旨のものであるから、所得税法施行令94条1項2号の規定により、事業所得に該当すると結論付けています。

所得税法施行令94条

不動産所得、事業所得…を生ずべき業務を行なう居住者が受ける次に掲げるもので、

その業務の遂行により生ずべきこれらの所得に係る収入金額に代わる性質を有するものは、これらの所得に係る収入金額とする。

 二 当該業務の全部又は一部の休止、転換又は廃止その他の事由により当該業務の収益の補償として取得する補償金その他これに類するもの