税務最新情報の税務最新情報

小規模宅地の特例で二世帯住宅の構造が、内部で行き来できるようなものでなくともよいなど要件が緩和され、来年1月からの相続に適用されます。

朗報ではありますが、建物の登記の仕方によってはで適用される地積に違いが出る模様ですので、この点に特に注意が必要です。

改正政令では、一棟の建物が「建物区分所有法第1条の規定に該当する建物」である場合には、被相続人所有部分のみが小規模宅地特例の対象になることが明らかにされています。

したがって、1階部分が親世代所有、2階部分が子世代所有などと区分登記を行った場合、1階部分に対応する地積のみが小規模宅地特例の対象となります。

二世帯住宅を登記する際には「共有登記」にすることが無難であるといえます。

 

 

消費税率引き上げに備えて、国会で審議されている「転嫁対策法案」に衆議院で修正が加えられました。

新聞等でも大きく報道された「3%値引き」などの表示が禁止されるという規定は修正され、値引き表示でも 「消費税との関連を明らかにしたもの」 のみを禁止するという文言に緩和されました。

したがって、

  消費税還元セール

  消費税相当分キャッシュバック

などの、消費税との関連を明確にした表示は、「転嫁対策法」違反となりますが、消費税との関連表示のない、単なる「3%値引き」は違反とはならないことになります。

国会では衆議院通過にあたって「具体的かつわかりやすいガイドライン」を速やかに公表することを求めています。

 

 

消費税率の引き上げに伴う事業所の事務負担軽減のため、税抜き表示を時限的に認めることなどを盛り込んだ「転嫁対策法案」が国会で審議されています。

このなかで気になるのは、「いつから」「いつまで」税抜表示が認められるかという点です。

まず「いつから」がわからなければ、税抜き表示のパンフレットをどの時点で発注してよいかがわかりません。

麻生財務相の発言などから、今年10月あたりに転嫁対策法の施行日が設定され、税抜き処理もこの施行日からと考えられています。したがってパンフレットの発注はこの施行日を挟んで、旧パンフレットの在庫状況などを見ながら検討しなければなりません。

また、「いつまで」税抜き処理が認められるかについては、平成29年3月31日までとの報道もあります。 つまり10%税率に引き上げられてから1年半は税抜き処理表示で構わないということです。

今年9月までに「経過措置」について、10月あたりに「税抜き表示」ついて、細心の注意を払わなければなりません。

 

 

教育資金の一括贈与の非課税措置については、文部科学省のHPでQ&Aが

公表され、ずいぶんすっきりした腑分けができたように思います。

  非課税措置に関するQ&A
   ↓ ↓ ↓
  http://www.mext.go.jp/a_menu/kaikei/zeisei/__icsFiles/afieldfile/2013/04/01/1332772_1.pdf

それでも不明確な点がまだ多く、たとえば入学時に半強制的に学校に対して支払わされる「寄付金」の扱いがどうなのかなどは、あいまいなままです。

教育資金とは文部科学省が定める次の金銭をいう。

①学校等に支払われる入学金その他の金銭

この文言だけを拾うと、文部科学省がOKを出せば寄付金も大丈夫という解釈も可能ですが、「教育目的」の支出かどうかという観点からみると、にわかに怪しくなってきます。

より詳しい取り扱いのQ&Aの公表を望みます。

 

 

国税庁は4月25日付で消費税の経過措置Q&Aを公表しました。

これによると、経過措置の対象として列挙されている行為(工事請負や資産貸付など)であって、契約や慣行によって継続して「収益計上」している場合であれば、旧税率を適用することができるということです。

  国税庁HPはこちらから
   ↓ ↓ ↓
 http://www.nta.go.jp/shiraberu/ippanjoho/pamph/shohi/kaisei/pdf/2191.pdf 

たとえばコピーのメンテナンス業務を平成26年3月に締結し、1年契約分の対価を一括して受け取り、収益計上した場合には、これに対する消費税率を5%計上して差支えないということです(Q&A 問4参照)。

ここでは「収益計上」する側だけの取り扱いについて述べています。 しかし経過措置の適用期限(平成25年9月30日)ののちに契約を結び、対価の支払いを行った側については、対価を受ける側の経理処理に応じて扱いが異なるとすると、それも妙な感じです。

当局の今後の詳しいアナウンスに注目したいと思います。

 

 

消費税率5%が適用される経過措置について、工事請負契約がその対象であることは周知のことですが、完成前のマンションを購入する契約については誤解が多いようです。

いわゆる「モデルルーム仕様・標準仕様」のマンションを購入する契約は、建物の建築内容につき注文を付する契約でないため、建築請負契約に該当せず経過措置の対象にはなりません。 9月までにマンション購入契約を結んでも、基本的に消費税税率の節税メリットはないというわけです。

ただし、国税庁から公表された法令解釈通達によると、注文者が壁の色やドアの形状などについて特別の注文を付することができるものは、「譲渡を受ける者の注文に応じて建築される建物」に該当することになり、経過措置の対象となることが明らかになりました。

同じモデルルーム仕様の物件でも、オプション付きとそうでないものとでは消費税率の適用が全く違うという話です。 マンションを売る側も買う側も注意しなければならない点です。

 

 

教育資金の一括贈与1500万円非課税枠の設置が確定しましたが、資金使途である「学校等」に含まれる範囲や、それ以外の非課税枠が認められる範囲について、様々な憶測が流れていました。

文部科学省は4月1日付で、非課税措置に係るQ&Aを公表し、非課税枠の適用範囲を明確にしています。

  文部科学省のHPはこちらから
   ↓ ↓ ↓
http://www.mext.go.jp/a_menu/kaikei/zeisei/__icsFiles/afieldfile/2013/04/01/1332772_1.pdf

これによると、「学校等」に支払うものの範囲として、入学試験検定料、在学証明、成績証明の発行手数料、修学旅行費、遠足費、給食費などが含まれるそうです。

また500万円を上限とする「学校等以外」の支出については、学習塾、家庭教師、水泳教室などに対するもので、「社会通念上相当と認められる金額」に限り、非課税措置の適用を認めるとしています。

また金融機関に対する領収証等の提出方法について、領収書等の日付記載日から1年以内に提出する方法と、記載日の翌年3月15日までに提出する方法のいずれかひとつを選択し、この選択は変更できないとされている点も、要注意です。

 

 

消費税率引き上げに伴う「経過措置」の適用が可能かどうかの判断は、消費税の経理処理にとどまらず、契約総額にも影響するため十分な注意が必要です。

家賃契約は「資産の貸付」に該当し、対価の額の変更を契約で禁止していれば、経過措置の対象となって、9月までの契約分には旧税率5%が適用されると考えられます。

ところが、借地借家法32条で、地価上昇、下落など事情変更があった場合には、賃料の増減請求ができると規定されており、個別の契約上、賃料変更の禁止が謳われている場合でも、増減請求の権利は確保されています。

そこで、家賃契約が「経過措置」の対象となるかどうかが、注目されていましたが、法令解釈通達により、借地借家法32条の存在にかかわらず賃料変更できる規定が契約書に記載されていなければ、「経過措置」の対象となることが明らかになりました。

 法令解釈通達はこちらから
 ↓ ↓ ↓
 http://www.nta.go.jp/shiraberu/zeiho-kaishaku/tsutatsu/kobetsu/kansetsu/130325/130325.pdf

また、この通達によれば、賃料改定を行った場合には、改定後の賃料に経過措置は適用できないのが原則としつつも、賃貸人が修繕義務を履行しないなど「正当な理由に基づく」改定であれば、経過措置の適用は認められるとしています。

このあたりは、今後周知されてゆくものと考えられますが、思い込みでの判断は危険であることを痛感させられます。

 

 

消費税率引き上げに伴う「経過措置」について、今年9月までに契約を済ませてしまえば広範囲に適用されるという誤解があるようです。

例えば、自動車学校の一定期間の受講料をパック料金にして、9月までに契約する契約などが経過措置の適用で、5%取引になるのではといった誤解です。

これは明らかに「経過措置」の適用されるどの契約にも該当しないため、4月以降の役務提供に対しては8%の消費税が課されることになります。

ビルメンテナンスの保守点検業務の一括パッケージ契約が「請負」に該当し、経過措置の適用が認められるのではないか、という疑問も生じるところですが、改正消費税法の施行令では、経過措置の適用対象となる「請負」契約を以下のように定義しています。

測量、地質調査、工事の施工に関する調査、企画、立案及び監理並びに設計、映画の制作、ソフトウエアの開発その他の請負に係る契約(委任その他の請負に類する契約を含む。)で、仕事の完成に長期間を要し、かつ、当該仕事の目的物の引渡しが一括して行われることとされているもののうち当該契約に係る仕事の内容につき相手方の注文が付されているもの

ビルメンテナンスサービスは「仕事の目的物の引渡しが一括して行われる」という要件を満たさないため、経過措置の適用を受けられないのです。

経過措置に関する誤解が契約当事者双方にあると、契約金額の総額が変わってしまう可能性があります。経過措置適用前の契約については、二重三重のチェックが必要とされます。

 

 

所有期間10年超の事業用 土地・建物・構築物を売却して、新たに土地、建物、構築物機械装置を購入した場合、売却益課税を繰り延べる「9号買換え」という制度があります。

10年超保有していれば大きなしばりもなく税負担を軽減した買換えができるため、重宝がられて使われてきました。税務に明るい経営者ならば「事業用で10年保有していれば買換え特例がきく」というのが常識でもありました。

ところが平成24年度税制改正で、新しく買換える資産のうち「土地」については、地積が300平米以上なければ特例の適用ができなくなってしまいました。

一方、平成23年の改正で法人の「立体買換え」(デベロッパーに土地を売却し、その土地上の建物と土地を代替資産として区分所有するような取引で、等価交換などとも言われる)

の特例が使えなくなったため、逃げ道として「9号買換え特例」が使われてきた経緯もあります。

ところが土地の300平米要件が入ってしまうと、立体買換えで土地を区分所有する場合、9号買換えの要件を満たさないケースが大幅に増えてしまいます。

新規に取得する「建物」部分には「9号買換え特例」は使えますが、土地はアウトということになってしまうのです。

地方の土地を売却し、都心の狭小地に節税目的のマンションを建てても、9号買換えの特例でしばりがかけられる、といふうに平成24年改正の際、解説されていましたが、法人の立体買換えの逃げ道がふさがれてしまう、という問題も引き起こしています。

不動産市況が活発化し、再開発事業なども展開される中で、企業や事業を行う個人の「打ち手」が少なくなっています。

 

 

政府は今国会中に「消費税の円滑かつ適正な転嫁のための特定事業者による消費税の転嫁の拒否等の是正等に関する特別措置法案」(転嫁対策関連法案)を提出し成立する予12定です。

今回の法案の対象となるのは「特定事業者」と「特定供給事業者」で、早い話が前者が取引上の「強者」、後者が「弱者」を指します。 強者に商品等を納入する立場の弱者に対して、消費税率引き上げ分の値下げ圧力などをかけないための法律です。

ここで注目したいのが、「消費税還元セール」などの表示を禁止すべく行政指導するとしていた原案が修正され、法的に禁止する規定が盛り込まれる予定であることです。

政府は大規模小売店による「消費税還元セール」が、ひいては価格転嫁を困難にするものとして問題視しており、今回の修正への動きにつながったそうです。

ただし、3%値引き、5%値引き、2%値引き等は、かりに消費税率引き上げ相当分を想起させるとしても、一律に法律で禁止することは難しいと考えられています。

法案の内容はまだ流動的ですので、今後の報道に注目したいと思います。

 

 

祖父母から孫への教育資金贈与が1500万円まで非課税となる税制改正大綱の内容について、ご質問を受ける機会が増えました。

祖父母からそれぞれ1500万円ずつ贈与が可能か、というのが最も多い質問です。

これは受贈者1名につき1500万円を限度としますので、例えば2名から合わせて3000万円を贈与しても、超過した1500万円には普通の贈与税が課せられます。

大綱には「一括贈与」という文言がありますが、必ずしも1年度中にすべての贈与を終える必要はないようです。例えば500万円ずつ3年に分けて合計1500万円の贈与となった場合にも、この制度は使えるようになるそうです。

また、基礎控除110万円や「相続時精算課税制度」との併用も可能となるという情報も伝えられています。

今年の4月1日から平成27年12月31日までの3年間の時限的措置ですので、この点も充分に念頭に置いておかなければなりません。

 

 

税制改正大綱のなかで注意しなければならない項目に「検討事項」があります。

最後に付け足しのように書かれているものの、今後の税制改正では俎上に上げるというメッセージ性の高い内容です。

平成25年度税制改正大綱には次のような文言が見られます。

 「小規模企業等に係る税制のあり方については、個人事業者、同族会社、給与

 所得者の課税のバランス等について、幅広い観点から検討する」

悪名高い「特殊支配同族会社課税制度」は、自民党時代に制定され批判によって縮小されながら、民主党政権時代の平成22年に廃止された経緯があります。

これとバーターするようなかたちで、給与所得控除の「頭打ち制度」が導入されて、同族会社の役員に対する課税問題は一段落したものと考えられていました。

自民党政権下では、この問題はまだ未解決であり、課税強化も検討するという認識であることのアナウンスです。

今後の税制改正の議論の中で、要注意の事項です。

 

 

「良いニュースと悪いニュースがあるけれどもどちらから聞きたい?」

こういう言い回しがあります。

多くの場合、悪いニュースのショックを和らげるための前置きとして使われます。

そういう訳なので、良いニュースも実は取って付けたようなものに過ぎません。

自民党は、祖父母の孫に対する教育資金贈与について、時限的に1500万円を上限として贈与税の非課税枠を設けることを検討しているそうです。

これを受けて昨日、教育関連の上場株が急騰したというおまけまで付いています。

しかし、これも冒頭に述べた「良いニュース」の部類に入るのではないかと思います。

相続税増税は贈与税減税とセットで税制改正の俎上に乗せられてきた経緯があります。つまり「悪いニュース」のもうひとつの側面としてこれまで登場してきたのです。

相続税増税について、さすがに民主党政権時の改正案をそのまま採用することはないのでしょうが、自民党政権も相続税増税に踏み切るのだと思います。

これから「悪いニュース」が待っていると覚悟すべきだと思います。

 

 

自民党税制調査会は7日総会を開催し、9日に各部会からのヒアリングを行い、10日、11日に主要項目について検討することを確認しました。

所得税・相続税の見直し、事業承継税制、金融証券税制が主要な論点になると言われています。

7日総会のペーパーを見ても、気になる所得税、相続税の改正については、昨年3党合意の文言が掲載されているだけで、新しい情報を得ることはできませんでした。 10日、11日皮切りの議論で大きな方向付けが固まると思われます。

あらかじめアナウンスされていた研究開発税制の拡充は、11日に予定される緊急経済対策に盛り込まれる予定とのことです。

また日経新聞の情報では、給与を一定割合増加させたり、雇用者数を一定以上増加させた企業に対して、法人税の控除を行う減税制度を検討しているそうです。

平成25年度税制改正大綱は、1月23日をめどにとりまとめることが予定されています。