消費税の税務最新情報

消費税率5%が適用される経過措置について、工事請負契約がその対象であることは周知のことですが、完成前のマンションを購入する契約については誤解が多いようです。

いわゆる「モデルルーム仕様・標準仕様」のマンションを購入する契約は、建物の建築内容につき注文を付する契約でないため、建築請負契約に該当せず経過措置の対象にはなりません。 9月までにマンション購入契約を結んでも、基本的に消費税税率の節税メリットはないというわけです。

ただし、国税庁から公表された法令解釈通達によると、注文者が壁の色やドアの形状などについて特別の注文を付することができるものは、「譲渡を受ける者の注文に応じて建築される建物」に該当することになり、経過措置の対象となることが明らかになりました。

同じモデルルーム仕様の物件でも、オプション付きとそうでないものとでは消費税率の適用が全く違うという話です。 マンションを売る側も買う側も注意しなければならない点です。

 

 

消費税率引き上げに伴う「経過措置」の適用が可能かどうかの判断は、消費税の経理処理にとどまらず、契約総額にも影響するため十分な注意が必要です。

家賃契約は「資産の貸付」に該当し、対価の額の変更を契約で禁止していれば、経過措置の対象となって、9月までの契約分には旧税率5%が適用されると考えられます。

ところが、借地借家法32条で、地価上昇、下落など事情変更があった場合には、賃料の増減請求ができると規定されており、個別の契約上、賃料変更の禁止が謳われている場合でも、増減請求の権利は確保されています。

そこで、家賃契約が「経過措置」の対象となるかどうかが、注目されていましたが、法令解釈通達により、借地借家法32条の存在にかかわらず賃料変更できる規定が契約書に記載されていなければ、「経過措置」の対象となることが明らかになりました。

 法令解釈通達はこちらから
 ↓ ↓ ↓
 http://www.nta.go.jp/shiraberu/zeiho-kaishaku/tsutatsu/kobetsu/kansetsu/130325/130325.pdf

また、この通達によれば、賃料改定を行った場合には、改定後の賃料に経過措置は適用できないのが原則としつつも、賃貸人が修繕義務を履行しないなど「正当な理由に基づく」改定であれば、経過措置の適用は認められるとしています。

このあたりは、今後周知されてゆくものと考えられますが、思い込みでの判断は危険であることを痛感させられます。

 

 

消費税率引き上げに伴う「経過措置」について、今年9月までに契約を済ませてしまえば広範囲に適用されるという誤解があるようです。

例えば、自動車学校の一定期間の受講料をパック料金にして、9月までに契約する契約などが経過措置の適用で、5%取引になるのではといった誤解です。

これは明らかに「経過措置」の適用されるどの契約にも該当しないため、4月以降の役務提供に対しては8%の消費税が課されることになります。

ビルメンテナンスの保守点検業務の一括パッケージ契約が「請負」に該当し、経過措置の適用が認められるのではないか、という疑問も生じるところですが、改正消費税法の施行令では、経過措置の適用対象となる「請負」契約を以下のように定義しています。

測量、地質調査、工事の施工に関する調査、企画、立案及び監理並びに設計、映画の制作、ソフトウエアの開発その他の請負に係る契約(委任その他の請負に類する契約を含む。)で、仕事の完成に長期間を要し、かつ、当該仕事の目的物の引渡しが一括して行われることとされているもののうち当該契約に係る仕事の内容につき相手方の注文が付されているもの

ビルメンテナンスサービスは「仕事の目的物の引渡しが一括して行われる」という要件を満たさないため、経過措置の適用を受けられないのです。

経過措置に関する誤解が契約当事者双方にあると、契約金額の総額が変わってしまう可能性があります。経過措置適用前の契約については、二重三重のチェックが必要とされます。

 

 

政府は今国会中に「消費税の円滑かつ適正な転嫁のための特定事業者による消費税の転嫁の拒否等の是正等に関する特別措置法案」(転嫁対策関連法案)を提出し成立する予12定です。

今回の法案の対象となるのは「特定事業者」と「特定供給事業者」で、早い話が前者が取引上の「強者」、後者が「弱者」を指します。 強者に商品等を納入する立場の弱者に対して、消費税率引き上げ分の値下げ圧力などをかけないための法律です。

ここで注目したいのが、「消費税還元セール」などの表示を禁止すべく行政指導するとしていた原案が修正され、法的に禁止する規定が盛り込まれる予定であることです。

政府は大規模小売店による「消費税還元セール」が、ひいては価格転嫁を困難にするものとして問題視しており、今回の修正への動きにつながったそうです。

ただし、3%値引き、5%値引き、2%値引き等は、かりに消費税率引き上げ相当分を想起させるとしても、一律に法律で禁止することは難しいと考えられています。

法案の内容はまだ流動的ですので、今後の報道に注目したいと思います。

 

 

「自民党を中心とした政権が誕生する」、そういう前提ですでに税務の話題が進められています。

たとえば、消費税について逆進性を解消するために、自民党は複数税率導入を主張しています。

複数税率が導入されると、益税が問題となっている簡易課税制度の見直しも進められるでしょう。 「みなし仕入率」が実際の仕入率よりも高い業種、例えば不動産業などにはみなし仕入率の見直しが検討されることが予想されます。

また「飲食業」でひとくくりにしている分野も、アルコールを多く扱うかどうかで、仕入率は大きく異なります。 

複数税率が導入されている欧米諸国では、数十の業種区分に細かく分類されているようなので、それに準じるように細かな分類が行われるだろうと予測されています。

財務省もみなし仕入率と実際仕入率との乖離を調査しており、複数税率導入とともに、即座に簡易課税制度の改正に取りかかれる準備をしているそうです。

益税問題が解消することは当然の方向性ですが、分類作業ミスによる損税問題の発生を抑えることにも神経を使ってもらいたいものだと思います。

 

 

中小企業などが、消費税率引き上げ時に価格に転嫁ができない、いわゆる転嫁問題は経営のかじ取りを危うくしかねないため、経営者が頭を悩ませるところです。そこで政府は、消費税法とは別に「転嫁対策専用の法律」を創設する方針です。

平成元年消費税導入時に消費税法附則に盛り込まれた「独禁法適用除外規定」と同様の規定を設けるほか、取引の中で消費税分を転嫁させないような行為を「違法」であると新法に明記する方針です。

まず消費税分の価格転嫁方法や表示方法に関するカルテルは、これを独禁法の適用除外とするという、平成元年と同様のカルテル除外規定を設けます。

そのうえで、実際に下請けいじめのような実態がないかどうかを調査する権限を、各省庁に設け、違反に対して実効あるペナルティを課せるように法の整備を行うそうです。

政府としては消費税法とは別途に法律を設けることで、転嫁対策に強い姿勢で臨むことをアピールしたいところです。

 

 

消費税率の引き上げをふくむ、社会保障と税の一体改革法が、衆院特別委員会で審議されています。

消費税率の引き上げの帰趨は予断を許しませんが、消費者に価格転嫁しづらい小規模事業者や、いわゆる「下請けいじめ」で価格転嫁できない零細事業者にとっては死活問題です。

政府・民主党は独占禁止法を改正して、消費税の転嫁拒否やこれに類する行為も禁止することを検討しているそうです。 また、独禁法や下請法に違反する事実がないかどうかを監視するため、公正取引委員会や中小企業庁による、「転嫁状況の調査」も強化する意向だそうです。

なお、最終消費者への転嫁が難しい零細事業者を救済するため、現在の免税点1千万円を引き上げて欲しいという中小企業側からの要望については、これを受け入れないという方針だそうです。

立場の弱い企業が、しわ寄せを受けないような仕組みは必要だと思います。
しかし一方で、京セラ創業者、稲盛和夫さんの「値決めは経営である」という言葉を、もう一度かみしめたいと思います。もはや、どのような価格戦略で生き残るかを真剣に考えなければならない段階に入ったのだと思います。

 

 

消費税法改正案では、新規設立法人の株式を50%超保有する事業者の課税売上高が5億円を超える場合には、同新設法人の課税免税点制度の適用を認めないこととしています。

これに加えて、「他の者により新規設立法人が支配される場合として政令で定める場合」にも、上記と同様の条件で免税点制度が使えない旨の規定が置かれています。

この「政令で定める場合」の範囲がいまだ明確ではなく、他の者からの債務保証を受け、資金提供を受けている場合なども含まれるのか、などの疑問が出ていました。

当局は、債務保証による資金提供などはこれに該当せず、政令に盛り込まない旨を明らかにしています。また議決権ベースによる新設法人支配がされている場合などを、政令に盛り込む予定とのことです。

政令に規定される「支配される場合」の範囲は、さほど広範囲ではなく、複雑なものでもないと考えられています。

 

 

消費税法等の一部改正案が成立した場合、新設法人の消費税免税制度について、新しい規制が設けられることについては、すでにお伝えしました。

新設法人を、直接間接に50%超保有する事業者の課税売上高が ①5億円超である場合、②5億円以下であっても、その50%超保有する事業者と「特殊な関係にある法人」の課税売上高が5億円超であった場合、当該新設法人に免税点制度が適用されないという点が注目されています。

改正法案では、新設法人が50%超保有する事業者に対して、課税売上高が5億円を超えるかどうかの情報提供を求めた場合、情報を求められた事業者はこれに答えなければならない旨、定められています。

ただし、財務省によると、この情報提供に対する具体的な方法や手続などを財務省令等で明らかにする予定はないということです。

同族関係など、情報収集をしやすい関係であるからという理由でしょうが、課税売上5億円超の判定等は納税者に下駄を預けたかたちになるようです。

 

 

税制抜本改革法案では、新設法人の消費税免税制度について、新しい規制を設けています。

この中で注目されるのが、当該新設法人を直接間接に50%超保有する事業者の課税売上高が5億円以下であっても、その50%超保有する事業者と「特殊な関係にある法人」の課税売上高が5億円超であった場合、当該新設法人に免税点制度が適用されないという点です。

ここで問題になるのが、「特殊な関係にある法人」がどの範囲まで含まれるのかです。

すでに解散した法人もこれに含まれることは既報のとおりですが、株主と「生計一の親族」もこれに含まれるとのことです。つまり個人株主が50%超保有する新設法人を設立した場合この株主と生計一の親族が別会社を50%超保有しており、この別会社の課税売上高が5億円を超える場合には、新設法人は免税制度を利用できないということです。

新設法人については、生計一の親族の会社についても注意を怠らないようにしなければなりません。

 

 

国税庁は4月1日以後開始の事業期間から、消費税仕入税額控除の「95%ルール」を改めることに伴い、仕入税額控除等に関するQ&AをHPで公表しています。

国税庁HP↓
http://www.nta.go.jp/shiraberu/ippanjoho/pamph/shohi/kaisei/pdf/kihon.pdf

このなかで、消費税基本通達11-2-19記載の個別対応方式に関する説明が注目されます。

同通達によると「合理的な基準」により、課税資産の譲渡等によるものと、そうでないものとを区分している場合には、その区分したところにより、個別対応方式を採用して構わない旨が記載されています。この「合理的な基準」をめぐって、納税者との見解の相違が生じたこともあります。

今回のQ&Aでは、「生産実績のように既に実現している事象の数値のみによって算定される割合で、その合理性が検証可能な基準により機械的に区分することが可能な」課税仕入を指す、とされています(問20参照)。

「既に実現している」事象から算定され、その結果が「機械的に」検証可能なものというまとめになっています。

 

 

税制抜本改革法案では、新設法人の消費税免税制度について、当該法人の株式を50%超保有する事業者と「特殊な関係にある法人」の課税売上高が5億円を超える場合には、新設法人を免税事業者としない旨の規定が設けられていることを、前回お伝えしました。

この判定基準となる「特殊な関係にある法人」には、すでに解散した法人もカウントされるのだそうです。

新設法人の、設立日前1年以内、または基準期間のない事業年度開始の日前1年以内に解散した法人があり、その法人が新設法人の「特殊な関係にある法人」に該当していた場合で、解散法人の課税売上高が5億円を超えていた場合にも、この新設法人は免税事業者とされないよう、改められるとのことです。

解散と設立を繰り返すことで、消費税免税制度を悪用するスキームを封じ込めることを狙った改正です。

 

 

消費税率引き上げを含む「税制抜本改革法案」は、所得税の最高税率引き上げを除いて、平成23年度税制改正の内容をそのまま引き継ぐ内容であることが判明しました。

このため、全体に目新しさは感じられませんが、消費税の免税制度に関する規定について、社会保障と税の抜本改革大綱以上に踏み込んだ箇所があり、注目されています。

社会保障と税の抜本改革大綱では、新設法人を直接・間接に50%超保有する事業者の課税売上高が5億円を超える場合には、当該新設法人を免税事業者としない旨が記載されていました。

今回の税制抜本改革法案は、これに加え、当該50%超保有する事業者と「特殊な関係にある法人」の課税売上高が5億円を超える場合にも、当該新設法人を免税事業者としない旨の規定が設けられています。

これによると、新設法人を直接・間接に保有する法人の課税売上高が5億円を超えない場合においても、例えばその法人の実質100%出資法人の課税売上高が5億円超である場合、新設法人は免税事業者として認められないことになります。

新設法人を利用した節税スキームに対しては徹底した封じ込めをしようという、財務省の強い意思が見られます。