2015年10月19日 一人っ子家族の数次相続

一人っ子家族で、両親が相次いで亡くなった場合、例えば父が亡くなって相続財産が未分割なまま、母が亡くなった場合、不動産登記が従前よりも複雑になっています。

 

一人っ子が父の相続財産をすべて相続登記し、母の相続財産を引き続き相続登記するという従来認められていた方法は、昨年の東京地裁・高裁判決からできなくなっています。
まず、父の財産を法定相続分で母と一人っ子との共有財産としたうえで、母死亡後に母固有の財産と、いったん共有持分とした父親財産とを一人っ子が引き継ぐという段取りになるのだそうです。
子が複数の場合には、第一次・第二次相続のいずれの場合にも複数の相続人がおり、遺産分割協議が成り立つので、上記のような面倒な手続きは必要ありません。これでは判決の意図するところがわからず、司法書士さんにも大変不評な判決です。

 

判決全文→http://www.courts.go.jp/app/files/hanrei_jp/478/084478_hanrei.pdf

 

税務上は「相次相続控除」という仕組みがあるので、結果の税負担は同一であるようにも見えますが、例えば第一次相続の財産が基礎控除以下であって、第二次相続の相続財産が大きな場合では、税負担に差異が生じるのではないでしょうか。
第一次相続ですべて子が相続しておれば、第二次相続の税負担が少なかったはずなのに、共有持分となってしまったばかりに、第二次相続の負担が大きくなるのではと思います。

税負担の平等という観点からも、手続きに見直しが必要ではないかと考えます。