2014年12月19日 出国時課税制度の概要

シンガポールなど株式等のキャピタルゲインが非課税になる国に移住することによる譲渡所得課税の回避を防止するために、平成27年度税制改正では「出国時課税制度」の導入が検討されています。

出国時に株式・国債・社債・匿名組合出資などの評価額が1億円以上を所有する者(出国直近の10年間で5年以上居住者であった者)について、未実現のキャピタルゲイン課税を行うというものです。ただしこの制度は「納税猶予」の仕組みがセットになっており、出国期間中に資産売却を行わず「5年以内」に帰国した場合には、納税猶予となった所得税が免除されるという段取りになります。

この納税猶予の制度は、出国時に担保を提供し、納税管理人の届を出すことが条件になっていますので、資産家はいわば人質を置いて海外移住することになります。

その他、現段階でこの制度について分かっていることとして、以下のような事項が挙げられます。

・ビジネスの事情などで5年を超える海外滞在が必要な場合には、5年間の延長を認める措置があること。

・猶予期間中に一部資産を売却した場合には、その売却した資産分についてのみ納税猶予が取り消されること。

・猶予期間中に資産を売却したものの、出国期間中に資産価値が下落していた場合には、出国時の時価と売却価額との差額に相当する所得税について更正請求ができること。

・施行日は、平成27年6月1日からではないか。

などです。

資産家および資産家の海外移住に対するマークは、一層厳しくなります。