2014年7月10日 税務調査におけるメール閲覧

税務調査に当たって、納税者のメール閲覧が許されるか否かは、税務調査のたびに調査官と法人との間で議論になるところです。

かりに閲覧が許されるとしても、「閲覧する対象の人」や「閲覧する期間」をめぐって限りない議論が続くことになります。

合理的な理由により、税務署によるメール閲覧を回避するに至ったケースが挙げられていましたので、ご紹介します。

ひとつは社内メールが「コンプライアンス・デスク」への伝達手段として使われていた、つまり内部告発などを受け付ける窓口として使われていたケースです。

税務調査を含め第三者がそのメールの中身を閲覧することが予想されるならば、制度自体の崩壊につながる恐れがある、というのが合理的な理由です。

もうひとつは取引先との秘密保持契約を締結していたというケースです。

税務調査といえども、情報を第三者に開示するためには、各情報につき取引先の了解を得ることが必要です。

しかしながら、複数社に対して個別情報の開示の了解を得ることは、事実上困難である、というのが閲覧を拒否する理由でした。

閲覧する側の根拠としては、昭和48年最高裁判決の「質問検査の必要があり、社会通念上相当な限度にとどまる限り、権限ある税務職員の合理的な選択に委ねられている」という判例に拠ることが多いようです。

しかしながら、この「社会通念上相当な限度」や「合理的な選択」という文言自体、恣意的な判断に左右されやすい、あいまいな基準であると思います。

納税者自身が厳しいルールに縛られて経済活動を行っているならば、税務当局が、そのルールをまず尊重することは当然のことであると考えます。