2017年の記事

政府税制調査会は今月開催の総会で、税務手続きの電子化について議論しました。その中で財務省は電子化の行程表を提示し、2019年1月からスマートフォンで確定申告できるようにする方針が示されました。

 

現在、e-Taxで申告する際には、ID、パスワードに加えて、マイナンバーカード、ICカードリーダライタによる本人認証が必要です。
スマホ申告では、サラリーマンの副業増加などにより個人で確定申告する人が増えていることから、納税手続きの簡素化を図るようです。
当面は、税務署が本人確認の上で発行するIDとパスワードを、スマホ専用の申告書作成コーナーに入力して申告するかたちをとりますが、いずれはマイナンバーカードと連携させて、税務署発行のIDやパスワード入力も省略する方向です。

 

「スマホ申告」は、まずは医療費控除やふるさと納税など、特にニーズが多い基本的な手続きから実現し、段階的に利用できる範囲を広げて、最終的には基本的にスマホのみで手続きが簡潔するしくみを目指すのだそうです。

 

 

去る10月12日、法務省は休眠会社等の整理作業を行うため、12年以上登記のない会社、5年以上登記のない一般社団・一般財団法人に対する法律の規定に基づく法務大臣の公告を行うとともに、該当する休眠会社等に管轄登記所からその旨の通知書を発送しました。

 

この公告により、これらの休眠会社等は、公告の日(10月12日)から2ヵ月以内となる今年12月12日までに、
1)役員変更等の登記の申請、
2)「まだ事業を廃止していない」旨の届出
のいずれか行わない場合は、同月13日付で解散したものとみなされ、職権で解散の登記がされます。

 

なお、対象となる12年以内又は5年以内に登記事項証明書や代表者の届出印の印鑑証明書の交付を受けていたかどうかや、通知書が届かない場合も、関係なく期限を過ぎると解散となることから、経営者等は確認が必要です。

 

 

平成28年度税制改正で、相続によって取得した被相続人の居住用不動産の売却にも、3千万円控除の道が開けるようになりました。
ところが相続のご相談で、その売却物件が「昭和56年5月31日以前に新築」の要件を満たしておらず、3千万円控除の特例が使えないケースが多いことにも気づきます。

 

日付によって特例適用に差があるのは、昭和56年6月の建築基準法の改正により耐震基準が大きく改善されており、それ以前の建築については「空き家」のリスクが大きく、特例による救済が必要という政策的な判断からです。

 

さて、昭和56年5月31日以前に新築した物件で、未登記の場合には、「確認済証(同日以前に交付されたもの)」や、「検査済証(交付年月日が同日以前のもの)」、「建築に関する請負契約書」により証明できれば特例の適用が認められます。
また、新築日は昭和56年5月31日以前だが、その後増築したことが登記事項証明書に記載されている場合でも、3千万円控除の特例の適用は可能です。

 

 

国税庁はホームページに「29年分確定申告の医療費の明細書添付の義務化のお知らせ」を掲載しました。

 

国税庁ホームページ

↓ ↓ ↓
http://www.nta.go.jp/shiraberu/ippanjoho/pamph/pdf/iryoukoujyo_meisai.pdf

 

平成29年度税制改正では所得税の医療費控除の見直しが行われ、これまで医療費控除の適用を受けるために確定申告書とともに必要だった医療費等の領収書の添付又は提示から、「医療控除の明細書」の添付に変更されました。

 

HPには、今回の改正のポイントとして医療費控除の明細書の添付が必要になったこととともに、確定申告期限等から5年間、医療費の領収書を保存する必要があり、税務署から求められた場合には提示又は提出する義務があること、医療保険者から交付を受けた医療通知書を添付することで明細の記入を省略できることを説明しています。

 

また、経過措置として平成29年分から31年分までの確定申告については、これまでの医療費の領収書などを確定申告書に添付するか、確定申告書を提出する際に提示することも認められていることを説明しています。

 

 

平成29年5月29日から『法定相続情報証明制度』が施行され、相続手続きの負担が軽減されました。
『法定相続情報証明制度』とは、法務局に
(1)被相続人が生まれてから亡くなるまでの戸籍関係の書類等 、
(2)(1)に基づく法定相続人情報一覧図(被相続人の氏名、最後の住所、生年月日及び死亡年月日、並びに相続人の氏名、住所、生年月日及び続柄の情報)
を提出すると、『認証文付き法定相続情報一覧図の写し』を交付してもらえるというものです。
 

従来は複数の不動産の相続手続きをする場合、管轄法務局ごとに戸籍関係書類一式を用意しなければなりませんでしたが、『認証文付き法定相続情報一覧図の写し』は無料で必要な分だけ取得でき、戸籍書類一式に代わって相続登記に利用できます。
金融機関での被相続人にかかる預金等の払戻しにも利用できる予定なので、戸籍関係書類をいくつも用意する必要がなくなり、相続手続きの負担が軽減されます。
 

ただし相続税申告書には、法令で『被相続人の全ての相続人を明らかにする戸籍の謄本』を添付することが定められています(相続税法施行規則16条3項)。
この『認証文付き法定相続情報一覧図の写し』が戸籍謄本に代わる申告書の添付書類として認められるには、法令の改正が必要であり、それまでは相続税申告で利用することはできませんので注意が必要です。

 

 

今日の日経新聞1面に、配偶者に生前贈与した居住用物件は、遺産分割の対象にしないよう見直す試案を、法制審がまとめたことが載っていました。
生前贈与分についても、このような取り扱いだったのかと、改めて認識した人も多かったのではないでしょうか。
預貯金に対する、遺産分割の考え方も、この数年で大きく変わっています。
つい最近まで預貯金払戻請求権は,相続開始とともに法律上当然に分割されて,各共同相続人が相続分に応じて権利を取得するため,原則として遺産分割の対象とならないと解されていました(最判平成16年4月20日等)。
ところが、現在では預貯金払戻請求権は,相続開始と同時に当然に相続分に応じて分割されることなく,遺産分割の対象になると解されるようになっています(最大判平成28年12月19日)。
民法の原則について、整理をすることの重要さを痛感します。

 

 

中小企業等投資促進税制を適用した場合、所得拡大促進税制を適用することは可能か?
答えは「可能」なのですが、税務署等に問い合わせるとまちまちな答えが返ってくるようです。
不可だと答える側の根拠は、国税庁タックスアンサー「No.5433 中小企業等投資促進税制」の以下の記述です。
「9.その他の注意事項 (2) この制度による特別償却又は税額控除の規定の適用を受けた場合は、研究開発税制を除き、租税特別措置法上の圧縮記帳、他の制度による特別償却又は他の税額控除の規定との重複適用は認められません。」
しかし、これは「資産について」特別償却など他の租税特別措置法上の特例を受けた場合に、中小企業等投資促進税制の「重複適用が不可」だと言っているだけで、それ以上の制限を課すものではありません。
本来、実務家向けにわかりやすい解説をするはずのタックスアンサーが、かえって混乱を呼んでいるケースです。

 

 

平成29年度税制改正大綱により、投資促進税制が改組、新設されています。やや多岐にわたり混同しやすいので、おおまかにまとめてみます。

①生産性向上設備投資促進税制は平成29年3月末に廃止

②中小企業投資促進税制は対象資産から器具備品を除外したうえ、平成31年3月31日まで延長

③中小企業商業・サービス業・農林水産業活性化税制も平成31年3月31日まで延長

④中小企業経営強化税制を創設

となり、平成29年4月1日から平成31年3月31日までは、②~④が並行して存在することになります。

この中で新設される中小企業経営強化税制は、経営力向上計画の認定を受けた中小企業者等について、取得価格までの特別償却(すなわち即時償却)と取得価額の7%の税額控除(特定中小企業者等は取得価額の10%の税額控除)とを選択できるというものです。
対象者が経営力向上計画の認定を受けることが、条件となっていますので、経営革新等支援機関(弊事務所も認定済み)のサポートによる計画書の作成が必要です。