消費税の税務最新情報

身体障害者用の物品、例えば義肢、盲人用杖、車椅子などが消費税法上、非課税に分類され、その譲渡に当たっては消費税が課されないことは、よく知られた事実です。

また、車両に取り付ける身体障害者用の補助装置も非課税であることは、同じ理屈ですんなりと理解できます。

しかし、一般の車両を購入し、これを改造する形で身体障害者用の補助装置を設置した場合、車両本体の消費税も非課税になるというのは、なかなか気が付かないことです。

驚くべきことに、健常者が一般の車両(とりわけ高級外車)を購入した際に、わざと簡易な補助装置を設置し、相当額の消費税を「節税」しているケースがあるというのです。 そして取り付けた補助装置は、購入後に取り外すのだそうです 

これを、一部の税理士が「節税スキーム」として指南しているというから開いた口がふさがりません。

税務当局はこれを問題視し、平成27年度改正で、車両本体分の非課税措置をはずすことを検討しているそうです。

車両の登録には相当のプロセスを要するのに、消費税に関してこのような悪質な「節税スキーム」の存在を許していたこと自体が不思議でしようがありません。

身体障害者に不利益が及ぶことがないよう留意しながら、早急な改正対応をしてもらいたいと思います。

 

 

公正取引委員会は4月23日、昨年施行された「消費税転嫁対策特別措置法」に基づく処分で、初の社名公表を行いました。

公取委のHPはこちら↓
http://www.jftc.go.jp/houdou/pressrelease/h26/apr/140423tenka-kouhyou.html

社名を公表されたJR東日本の子会社は、納入業者による消費税増税分の仕入れ価格への転嫁を拒否したとして、業者負担分の支払いや再発防止を公取委から勧告されています。

4月1日以降、売上減を防止するためセールを企画し、全納入業者161社に文書で企画の参加を要請し、価格の引下げを要求していた点が、特別措置法第3条1号の納入業者に値引きを迫る「買いたたき」の規定に違反するとされました。

公取委は、これまで社名の公表はしない「指導」にとどめてきましたが、同社の売上規模や納入業者数を考慮のうえ判断し、社名公表に踏み切ったと言います。

最も重たいペナルティーをあえて課して、公取委は価格転嫁の徹底を呼びかける選択をしたということです。

 

 

4月分家賃の3月前受分については、新消費税率8%が適用されることは、既報の通りですが (2014年01月31日)、この処理についての問合せが多く寄せられます。

消費税法基本通達9-1-20で 「資産の譲渡等の時期は、当該契約又は慣習によりその支払を受けるべき日とする」とあるため、3月支払の前受家賃は5%でよいという解説記事などが出ていたため、混乱を招く結果になりました。

1月20日国税庁発表のQ&Aで、3月支払分でも4月家賃は8%になるとの解説があり、急きょ、上記見解に統一されました。

さて、3月受取り(支払い)の4月分家賃の消費税は、8%税抜き後5%分を仕入税額控除に当て、3%分を仮受金(仮払金)処理して翌期に繰り越したのち、翌期の仕入税額控除に当てることになります。

わずらわしい限りですが、このような会計処理を行ってください。

 

 

消費税率引き上げを目前にして、転嫁対策法違反(所謂「下請けいじめ」)の特定事業者への立ち入り検査が本格化しているそうです。

多くの場合、政府の総合窓口センターへ「タレ込み」のあった事業者が対象になっているとみられます。

1月下旬に公表された調査結果では、164件のうち139件、つまり約85%が当局の指導を受けているということです。

立ち入り検査があった場合に、素直に検査を受け入れている限りは、勧告内容の公表などといった事態には発展しないようですので、まずは素直に検査を受け入れることと、納入業者への報復などは絶対に行わないことが肝心のようです。

 

 

卸売業を営む顧問先からのご指摘です。

消費税率引き上げを目前にして、小売業者に駆け込み需要を促すよう検討していたけれども、とんでもない間違いであることに気が付いた。 先方が本則課税を採用しているならば、税率引き上げ分は、仕入税額控除されるため結果、負担額は変わらないことになってしまう。

先方との事後的なトラブルを避けるため、営業マンには消費税率引き上げを理由にしたセールスを一切行わないように通知した、と言われるのです。

まったくご指摘のとおりであり、そのような事態を想定していなかったことを恥じるばかりでした。

このケースのように、売上先が小売業である場合には、事業者間で転嫁してゆく仕組が明確なのでイメージがしやすいかもしれませんが、例えば商品が事務消耗品などで購入企業が最終消費者である場合には、消費税の転嫁のイメージを抱きにくいと思います。

いきおい、税率5%の間に早めに購入しようという駆け込み需要に乗ってしまう (促してしまう) 結果になります。

もちろん購入者が免税事業者や簡易課税選択事業者、あるいは課税売上割合の低い医療機関や居住用賃貸不動産業者などの場合には、純粋な転嫁がされないため、税率5%のうちに安い買い物をした方が、単純に得にはなります。

しかしながら、これは例外的なケースだと認識しなければなりません。

継続的な取引先に、後々トラブルの種をまくような営業は致命傷になりかねません。

駆け込み需要に対する対応は、くれぐれも気を付けなければならないと感じました。

 

 

不動産の賃貸料は翌月の家賃を前月に支払う「前受」契約になっていることが多く、この場合、平成26年4月分の家賃を3月に支払うことになります。

多くの解説記事では、実際に支払いを受ける3月が資産の譲渡時期なので、3月受け取りの4月分家賃に係る消費税率は5%となるというものでした。 またこの根拠として消費税法基本通達9-1-20が挙げられていました。

ところが平成26年1月20日に国税庁から発表された「消費税率引上げに伴う資産の譲渡等の適用税率に関するQ&A」では、新税率8%を使うのが正解とされています。

国税庁Q&Aはこちらから↓
https://www.nta.go.jp/shiraberu/ippanjoho/pamph/shohi/kaisei/pdf/201401qa.pdf

国税庁は、基本通達9-1-20は適用税率引上げを想定したものではないと判断し、新法が施行日以降の資産譲渡等に対して適用されるべしという大前提に立つもののようです。

税務雑誌など色々なところから、記事訂正の報告とお詫びの文書が届いています。

実務において間違いのないように気を付けたい点です。

 

 

2013年12月11日簡易課税制度の改正

13日にも発表される予定の、平成26年度税制改正大綱の内容が少しずつ明らかになってきました。

交際費課税の緩和など新聞などで大きく報じられている他に、納税者にとって不利益な改正案も見られます。高額所得者の給与所得控除の減額のほかに、消費税関係の重要な変更も予定されています。

消費税簡易課税制度のみなし仕入れ率の改正は、毎年の税制改正で話題に上っていましたが、今回は厳しい改正が現実のものになりそうです。

・ 不動産業のみなし仕入れ率が現行の50%から40%に引き下げられ、

・ 金融業・保険業については現行の60%から50%に引き下げられる

というのが具体的な改正内容です。

平成27年4月1日以後開始の事業年度から適用される予定です。

該当業種は、税率アップとは別に、資金繰り対策が必要になってきます。

 

 

政府税制調査会では、国境を超えた役務提供等に対する消費税課税について議論をしています。

現行は資産の譲渡・貸付があった場合には、その資産の所在場所で、役務提供が行われていた場合にはその事務所所在地によって、「内外判定」を行い、消費税の課税・不課税の判断を行っています。

しかしながら、この判定基準ではインターネットなどを利用した役務提供の課税が適正に行われないおそれがあるとして、基準の見直しを行っているわけです。

財務省資料は以下の通り↓
http://www.cao.go.jp/zei-cho/gijiroku/discussion1/2013/__icsFiles/afieldfile/2013/11/14/25dis12kai4_1.pdf

財務省は、B to C取引、B to B取引それぞれについて課税案を提出していますが、取引規模に応じた取り扱いの必要や、実際の執行上の問題点などから、議論はまとまらず、平成26年度税制改正大綱に改正方針を盛り込むのは難しい状況だそうです。

今後の税制調査会の議論に注目したいと思います。

 

 

消費税転嫁対策特別措置法で、零細事業者の価格転嫁を阻害するような表示方法を禁止する規定が置かれています。既報の通り、その具体的な内容は法律の条文ではなく消費者庁のガイドラインに明記されるかたちで周知されます。

9月10日、そのガイドラインが消費者庁から公表されました。

 消費者庁のガイドラインは以下の通り↓
http://www.mof.go.jp/tax_policy/summary/consumption/250910tenka2.pdf

当初は禁止するとみられていた、「3%還元」や「3%値引き」「3%ポイント還元」などは問題ないとされたものの、「消費税増額分値下げ」のように、消費税率引き上げに直接言及する表現は禁止されるようです。

なおガイドラインには書いていないものの「消費税増額分、増量」などの表示も、消費税に直接言及しているため、禁止の対象となるということです。

 

 

消費税率が2段階に分けて引き上げられる予定であることを踏まえ、消費税の価格転嫁法が、平成25年10月1日から施行されます。

中小企業者が消費税を価格にスムーズに転嫁できるように定められた法律であり、「総額表示」義務の時限的な撤廃もこの中に含まれています。

値札の張替えなどの事務負担を軽減するために、平成25年10月1日から平成29年3月31日までの期間、「○○円(税抜き)」「○○円+税」「○○円+△円(税)」などの表示が認められます。

また、税抜き価格部分を色を変えたり、文字を大きくすることは不当表示とされてきましたが、10月1日から上記期間はみとめられるとのことです。

財務省は表示方法が、総額表示と誤認されないためのガイドライン案を公表し、パブリックコメントを求めて、より具体的な表示方法の「しばり」が確定します。

 

 

消費税率引き上げに備えて、国会で審議されている「転嫁対策法案」に衆議院で修正が加えられました。

新聞等でも大きく報道された「3%値引き」などの表示が禁止されるという規定は修正され、値引き表示でも 「消費税との関連を明らかにしたもの」 のみを禁止するという文言に緩和されました。

したがって、

  消費税還元セール

  消費税相当分キャッシュバック

などの、消費税との関連を明確にした表示は、「転嫁対策法」違反となりますが、消費税との関連表示のない、単なる「3%値引き」は違反とはならないことになります。

国会では衆議院通過にあたって「具体的かつわかりやすいガイドライン」を速やかに公表することを求めています。

 

 

消費税率の引き上げに伴う事業所の事務負担軽減のため、税抜き表示を時限的に認めることなどを盛り込んだ「転嫁対策法案」が国会で審議されています。

このなかで気になるのは、「いつから」「いつまで」税抜表示が認められるかという点です。

まず「いつから」がわからなければ、税抜き表示のパンフレットをどの時点で発注してよいかがわかりません。

麻生財務相の発言などから、今年10月あたりに転嫁対策法の施行日が設定され、税抜き処理もこの施行日からと考えられています。したがってパンフレットの発注はこの施行日を挟んで、旧パンフレットの在庫状況などを見ながら検討しなければなりません。

また、「いつまで」税抜き処理が認められるかについては、平成29年3月31日までとの報道もあります。 つまり10%税率に引き上げられてから1年半は税抜き処理表示で構わないということです。

今年9月までに「経過措置」について、10月あたりに「税抜き表示」ついて、細心の注意を払わなければなりません。

 

 

国税庁は4月25日付で消費税の経過措置Q&Aを公表しました。

これによると、経過措置の対象として列挙されている行為(工事請負や資産貸付など)であって、契約や慣行によって継続して「収益計上」している場合であれば、旧税率を適用することができるということです。

  国税庁HPはこちらから
   ↓ ↓ ↓
 http://www.nta.go.jp/shiraberu/ippanjoho/pamph/shohi/kaisei/pdf/2191.pdf 

たとえばコピーのメンテナンス業務を平成26年3月に締結し、1年契約分の対価を一括して受け取り、収益計上した場合には、これに対する消費税率を5%計上して差支えないということです(Q&A 問4参照)。

ここでは「収益計上」する側だけの取り扱いについて述べています。 しかし経過措置の適用期限(平成25年9月30日)ののちに契約を結び、対価の支払いを行った側については、対価を受ける側の経理処理に応じて扱いが異なるとすると、それも妙な感じです。

当局の今後の詳しいアナウンスに注目したいと思います。

 

 

消費税率5%が適用される経過措置について、工事請負契約がその対象であることは周知のことですが、完成前のマンションを購入する契約については誤解が多いようです。

いわゆる「モデルルーム仕様・標準仕様」のマンションを購入する契約は、建物の建築内容につき注文を付する契約でないため、建築請負契約に該当せず経過措置の対象にはなりません。 9月までにマンション購入契約を結んでも、基本的に消費税税率の節税メリットはないというわけです。

ただし、国税庁から公表された法令解釈通達によると、注文者が壁の色やドアの形状などについて特別の注文を付することができるものは、「譲渡を受ける者の注文に応じて建築される建物」に該当することになり、経過措置の対象となることが明らかになりました。

同じモデルルーム仕様の物件でも、オプション付きとそうでないものとでは消費税率の適用が全く違うという話です。 マンションを売る側も買う側も注意しなければならない点です。

 

 

消費税率引き上げに伴う「経過措置」の適用が可能かどうかの判断は、消費税の経理処理にとどまらず、契約総額にも影響するため十分な注意が必要です。

家賃契約は「資産の貸付」に該当し、対価の額の変更を契約で禁止していれば、経過措置の対象となって、9月までの契約分には旧税率5%が適用されると考えられます。

ところが、借地借家法32条で、地価上昇、下落など事情変更があった場合には、賃料の増減請求ができると規定されており、個別の契約上、賃料変更の禁止が謳われている場合でも、増減請求の権利は確保されています。

そこで、家賃契約が「経過措置」の対象となるかどうかが、注目されていましたが、法令解釈通達により、借地借家法32条の存在にかかわらず賃料変更できる規定が契約書に記載されていなければ、「経過措置」の対象となることが明らかになりました。

 法令解釈通達はこちらから
 ↓ ↓ ↓
 http://www.nta.go.jp/shiraberu/zeiho-kaishaku/tsutatsu/kobetsu/kansetsu/130325/130325.pdf

また、この通達によれば、賃料改定を行った場合には、改定後の賃料に経過措置は適用できないのが原則としつつも、賃貸人が修繕義務を履行しないなど「正当な理由に基づく」改定であれば、経過措置の適用は認められるとしています。

このあたりは、今後周知されてゆくものと考えられますが、思い込みでの判断は危険であることを痛感させられます。